さあそれでは出発。空を見上げると、雲が切れ、青空が広がり始めています。天下無双の晴れ男、ここに見参です。山々や森やゆるやかにうねる丘陵を眺めながら小道を歩けば、心も体もリフレッシュ。うーん、空気もおいしい。しばらくすると、「TOI TOI」と記された簡易公衆トイレがありました。これはトイレットと、幸運・成功を祈るドイツのおまじないの言葉「トイトイトイ(toi toi toi)」をひっかけたのでしょうか。ちなみに言葉に合わせて、テーブルや扉を3回トントントンと指で叩きます。
小川にかかる木橋から、アルプスや集落を一望できる絶景を写真撮影。橋を渡ると、家畜用の木製水飲み場がありました。あるお宅のガラス窓の向こうに山羊の姿が見えます。何という名の花なのでしょう、紫色のきれいな野草が咲き乱れていました。
クラスタ(Crasta)という集落には、ロマネスク様式の古い教会があります。中には16世紀初頭に描かれたフレスコ画があるそうです。何でも宗教改革時に漆喰で白く塗り潰され、20世紀になって発見されたとのこと。ガイドブックによると、隣にあるホテル・ゾンネの受付で鍵を借りて内部を見学できますが、幸いドアが開いていました。中に入って貴重なフレスコ画を拝見しました。
少し先に分岐点があり、このまま平地を行くか、谷を見下ろしながら山の中腹を歩くかの選択を迫られます。往路は山中を、復路は平地を歩くことにしましょう。道に迷わぬよう、木々にペンキで白‐赤‐白の印が塗られていますが、国によっていろいろな意匠があるのですね。向こうの谷では牛飼いのおじさんがお仕事の真っ最中でした。
坂道をおりて川を渡ると、ホテル・フェックスに到着です。部屋数は15室、人里離れたホテルとしては大きな規模でレストランも併設されています。せっかくなので、ホテルのレストランで珈琲をいただきひと休みしました。雄大な谷と遥かなる山なみ、そこに佇むシックなホテル。いいなあ、本をしこたま持ち込んで、一週間ほど長逗留してみたいものです。山と谷を眺めて、本を読んで、ビールを飲んで、散歩して、昼寝して、美味しい食事を食べて、また本を読んで、山と谷を(repeat)…そういう旅も悪くないですよね、うん。
本日の五枚です。