スイス編(58):サンライズ・ツァー(14.8)

 ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴ アラームのかそけき音で目覚めました。ああ、フロントはウェイクアップ・コールを忘れたようです。でもタニタのストップ・ウォッチを持参してよかった、危ないところでした。山ノ神を起こして、洗顔をし、身支度を整えてベランダに出ると、ゴルナーグラート鉄道駅は煌々と明かりがついており、列車も入線しています。あれに乗るのだな。
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 集合時刻は5:45、十分前に駅の窓口で料金を支払おうとした山ノ神、係の方に「前払いだよ」と言われました。えーっ、話が違うと猛抗議する山ノ神。それはそうです、朝五時に起きてこれでツァーに参加できなかったら、浮かぶ瀬もありません。結局、「ま、いーか」という感じで解決、料金を支払って事無きを得ました。二両編成の列車に乗り込むと空席がまだあったので、人気殺到というわけではなさそうです。おっ大きな荷物を背負った方々が乗り込んできましたが、おそらくアルペン・ホルン隊ですね。昨晩練習していた方々とは違いました。そして出発進行、途中で車内灯を消してくれたので、車窓から外の風景を眺めることができました。
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 漆黒の闇がじょじょにうすら明るくなりましたが、ツェルマットの町は雲海の下でまだ眠りについているようです。山の端もやがて白んできました。ん? うすらあかり? 白みゆく山の端? 高校生のときに一所懸命に覚えた萩原朔太郎の「夜汽車」という詩ではありませんか。ああ悔しい、ほとんど忘れてしまいました。ちなみに今調べてみると、"有明のうすらあかりは/硝子戸に指のあとつめたく/ほの白みゆく山の端は/みづがねのごとくにしめやかなれども/まだ旅びとのねむりさめやらねば/つかれたる電燈のためいきばかりこちたしや"という出だしでした。今の高校生も、詩を暗誦したりするのでしょうか。閑話休題。やがてマッターホルンが…見える。雲ひとつない黎明の空に、中腹から頂上までクリアに、その全容が見えます。やった。
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 ローテンボーデン駅で下車すると、アルペン・ホルン隊の方々が大きな荷物を背負って前方を歩いていきました。それではツァー参加者のみなさんとともに滑りやすい斜面を慎重に下り、リッフェルゼーへと向かいましょう。おっアルペン・ホルン隊三人組が、早々と楽器を組み立てています。
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 湖を見ると…鏡のような湖面が、マッターホルンの全容を完璧に映しているではありませんか。居ても立ってもいられない、リッフェルゼーへと続く坂道をあたふたと駆け下り、湖畔の撮影ポイントに陣取りました。完全無欠な逆さマッターホルン、念願が叶いました。そして荘厳な自然のドラマはこれから始まります。頂上がぽつんと朱に染まったかと思うと、やがて日の出とともに山全体が徐々に赤く染まっていきます。もちろん湖面に映っているマッターホルンも同様に染め上げられていきました。逆さマッターホルンのモルゲンロート(Mogenrot)… 凄い… 清冽な空気の中でくりひろげられる自然のドラマに、ただ茫然とするのみ。ブンダバー! と、ここで、♪ぷあー♪ アルペン・ホルンの演奏が始まりました。♪水晶の静寂♪にひたっていたかったのですけれどね、まあ観光ツァーなので致し方ありません。写真を撮っては見惚れ写真を撮っては見惚れているうちに、やがて朝焼けは終わりました。「凄かったね」と山ノ神の方を振り向くと…いません。あれっ? すると坂の上からのてのてと降りてきました。アルペン・ホルン隊のみなさんの脇にいて、その音色を聞きながら朝焼けを愛でていたとのこと。なるほど、テレンティウス曰く"およそ人間に関することで、私に無縁なものは何一つとしてない"ですね、よくわかりませんが。

 本日の六枚です。
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by sabasaba13 | 2015-12-25 06:35 | 海外 | Comments(0)
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