やがてロープウェイは広大な氷河の上を通過、ここはテオドール氷河の支流だそうです。なおこのあたりから見るマッターホルンは正三角形をしています。見慣れた姿とはまったく違うので、ガイドブックがなければわかりませんでした。
そして標高3883m、ヨーロッパ最高地点の展望台であるグレッシャー・パラダイスに着きました。ちなみに、エギーユ・デュ・ミディより41m、ユングフラウヨッホの
スフィンクス・テラスより312m高いとのことです。ここからはフランスからオーストリアまで遮るもののない大パノラマが見られるはず、楽しみです。長い通路を抜けて外へ出るとそこは一面、白銀の世界。しかし…寒い、風が強い、これはたまらん。案内板で山座同定をしたかったのですが、それどころではありませんでした。おまけに雲がかかって遠方の眺望がきかず、ロープウェイ最終便の出発時刻も迫っています。アルプス最高峰のモン・ブラン(4810m)も、イタリアのチェルヴィニアという村も、北へ続くマッター谷のはるか奥にはユングフラウとメンヒ(アイガーは見えない)も見えるはずなのですが無念。潔く撤退することにしました。なお雪原にはクレバスに落ちるスキーヤーを描いた
ピクトグラムの看板がありましたが、桑原桑原鶴亀鶴亀。
ロープウェイ最終便に乗り込みトロッケナー・シュテークへ、そしてゴンドラに乗り換えてツェルマットへと戻ります。窓から下界を見下ろし、もこもこの羊たちやサッカーの練習風景を撮影。ツェルマットに着いて駅舎から出ると、とある店先に異様にタイヤの太いスクーターが並べられていました。ダート・スクーターという代物で、これに乗って山を駆け下りるそうです。
ホテルまでは村内バスには乗らず、マッター・フィスパ川沿いの道をゆるりと歩いて行きましょう。
雲をかぶりながらも全容を現しているマッターホルン、木造の伝統的家屋が建ち並ぶ街並み、家々を飾る花々、キリストの磔刑像を写真におさめながら歩いていると、高名なホテル「ツェルマッターホフ」の前に、パネルに描かれた人物のモニュメントがありました。日本語解説が記されていたので転記します。
ここはツェルマットの山岳ガイドたちの溜まり場として100年以上に渡って使われていた場所です。「ガイドたちは朝早くから夜遅くまでホテルの前で、お客から何か仕事をもらえないものかと待機していました。彼らはガイドの他にも荷物運び、人を乗せて運ぶ椅子の担ぎ手、馬車の御者、お供の者として働きました」。ここからツェルマットの山々に出かけて行き、アルプスの登山で疲れてはいるが満足したお客を連れて無事又ここに戻ってきたのです。
本日の四枚です。