それでは外へ出てみましょう。客室の外は庇が張り出しており、風通しのよい日陰を提供しています。
塀に穿たれた格子付きの開口部と小さな踏み台は、愛犬のためのもの。
彼はこう語っています。
この家の犬が喜ぶように(というのも、この犬は家族の一員なので)、道行く人々の足元に合わせた高さに、柵つきののぞき穴がある小さな踏み台を設けてやった。こうしておけば犬は飽きもせずに遊んでいられる。門扉の柵からこの踏み台つきののぞき穴まで、この犬は続けて20mも疾駆でき、さらに心置きなく吠えることもできる。
ほんとうに優しい人柄だったのですね。
レマン湖に面した庭の端に、四角い窓が穿たれた白い壁があり、作り付けのテーブルと椅子が置かれていました。これも日除けですね、ここに座って薫風を浴び絶景を愛でながらティー・タイムを楽しむ、なんて贅沢なのでしょう。
それでは屋上へのぼってみましょう。階段脇の壁に出っ張った部分がありましたが、これはもしや…
猫のためのものでは。だとしたら、ますます彼のことが好きになってしまいます。屋上は一面芝生となっており、手に取るようにレマン湖やアルプスの山々が眺められるパノラマでした。
というわけで素晴らしいひと時を過ごせました。年老いた両親が安心して暮らせる空間を、合理的・機能的かつ美的に、しかも遊び心を加味して丹精込めてつくりあげた傑作。ここは必見です。「小さな家」の寸法をを縮尺したチケットも良い思い出となりました。
なお父のジョルジュ・ジャンヌレは1年間、音楽家であった母のマリーは101歳でなくなるまでの36年間を「小さな家」で過ごしたそうです。
本日の五枚です。