少女像2

 しかしこうした日本政府の態度の虚妄さを暴く、従軍慰安婦に関する六点の資料が発見されます。敗戦直前に空襲を避けるために八王子の地下倉庫に避難させておいた書類が連合国軍に接収され、後に返還されて防衛庁防衛研究所図書館に保存されていたのですが、その中から吉見義明氏ら研究者が確認しました。1992年1月12日に加藤紘一官房長官は日本軍の関与を認め、同月17日に日韓首脳会談において宮沢喜一首相は公式に謝罪しました。その後、政府はある程度の資料調査と、韓国人元慰安婦の一部からのヒアリングを行ない、同年8月4日、調査結果を公表しました。その中で日本政府は、つぎのような点を認めました。
一、慰安所の設置・管理、慰安婦の移送については、日本軍が「直接あるいは間接にこれに関与」した。
二、慰安婦の「募集」は、「甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり」、「官憲等が直接これに加担したこともあっ」た。
三、慰安所における生活は「強制的な状況の下での痛ましいもの」であった
四、朝鮮半島出身の慰安婦の「募集」・移送・管理なども「「甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して」おこなわれた。
五、従軍慰安婦問題は「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」であった。
六、元慰安婦の方々には「心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる」。(同書p.6~7)
 このように日本政府は、軍や官憲の関与と慰安婦の募集・使役での強制を認め、問題の本質が重大な人権侵害であったことを承認したわけです。このことがすべての議論の出発点になると思います。

 そして今回の問題の出発点となった「日韓合意」とはいかなるものか。「コトバンク」の「知恵蔵2015」をもとに、私の文責でまとめてみます。国交正常化(日韓基本条約締結)50周年に当たる2015年の12月末、日韓両国政府は慰安婦問題を「最終的かつ不可逆的に解決させること」で合意しました。公式な合意文書は交わされていませんが、日韓の両外務大臣が共同記者会見で次の事項を発表しました。日本の岸田文雄外務大臣は、慰安婦問題を「当時の軍の関与の下に多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」と位置付け、日本軍の関与があったことを認めました。これに「日本政府は責任を痛感している」と続け、「安倍晋三首相が日本国首相として心からおわびと反省の気持ちを表明する」と述べました。元慰安婦への具体的な支援については、韓国政府が設立する財団に日本政府の予算で10億円を一括供出することを表明し、「名誉と尊厳の回復、心の傷の癒やしのための事業を行う」と約束しました。
 韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外務大臣はこうした日本政府の措置を評価した上、日本が撤去を求めている在韓国日本大使館前の慰安婦少女像についても、「関連団体との協議等を通じて解決に努力する」と表明しました。また両外務大臣それぞれ、今後、国連など国際社会で、本問題について互いに非難、批判することを自制すると述べました。
 ただし、韓国側が求めていた日本政府の「法的責任」を明らかにした文言はなく、会見後の国会(16年1月)でも、安倍晋三首相が従来の「法的には解決済み」という政府見解に変更はないと強調しています。こうした点に韓国メディアからの批判はあるものの、両国の主要紙や経済界からはおおむね評価する声が多く、欧米メディアも米国の意向が反映された結果として歓迎しています。しかし、韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)など元慰安婦の支援団体からは「被害者無視の屈辱外交」という厳しい批判の声が上がり、また慰安婦少女像の撤去にも韓国国民の6~7割が反対しています(合意直後の各種世論調査)。
by sabasaba13 | 2017-03-02 06:25 | 鶏肋 | Comments(0)
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