バスで藤が丘駅にもどり、地下鉄東山線で中村公園に向かいます。驚いたのは、愛知県警による車内一面の広告。「愛知県は泥棒の多発エリア。一日に約40件も侵入されている」といった文言や、自動車窃盗団に関する注意がこれでもかこれでもかと並べ立てられています。警察の不祥事に対する警戒も怠らないようにしましょう。
そして中村公園駅で下車して、歩くこと約十五分。お目当てのアクテノンに到着しました。名古屋市演劇練習館のことで、演劇のハーサルや練習のために部屋を貸してくれます。ギリシア建築風の列柱と白亜の円筒形が人目を引く建物なのですが、実はもと配水塔だったのです(稲葉地配水塔 1937)。計画途中で容量が大きくなったタンクを支えるために列柱がもうけられ、お役御免となった後は図書館、そして演劇練習館として幸せな余生を送っているというわけです。これは理想的な人生ですね、私も生まれ変わったら図書館になりたい。街のランドマークである産業遺産を保存し、リフォームしながら文化施設として活用している当該行政の識見に頭が下がります。それにひきかえ、東京では板橋区大谷口配水塔をいとも簡単に破壊・抹殺しつつあります。民衆はその知的レベル以上の政府を望むことはできないのかもしれません。それにしても、いやはや… やりきれません。
そして気づいたのは、この中村公園駅周辺には、木造モルタルづくりの大きなアパートが多いということ。しかも壁面の一部にモザイクのように石板を貼り付けるなど、必ずどこかに意匠に工夫をこらしています。これは興味ありますね。中村公園駅では、「ちり箱」と表示されているゴミ箱を発見。方言でゴミをちりと言うのですね。あっそうか! 以前、沖縄石垣島のシーラ浜で見かけた
「チリは…もちかえりましょう」という立て札の意味を了解しました。合点合点。
本日の一枚はアクテノンです。