若草山山焼き編(14):山焼き(15.1)

 パチ。目が覚めると午後五時、山ノ神をゆすり起こしてそろそろ山焼き見物に出かけることにしましょう。もしや眺望が良いかと期待し、ホテルの屋上にのぼりましたが、それほどではなかったので初志貫徹、奈良公園に行きましょう。ホテルの近くにある荒池からも、薄暮のなか屹立する興福寺五重塔がよく見えました。道路には、「鹿に注意」ということでしょう、大きな鹿のピクトグラムが描かれていました。
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 公園が近づくにつれ、徐々に人の流れが太くなっていきます。やはりたいへんな混雑ですね。そして観光案内所で教えてもらった「奈良春日野国際フォーラム甍」のあたりに到着。なるほどある程度の距離をへだてて三笠山の全貌が見え、かつ立錐の余地もあります。
 午後6時15分、まずは大輪の花火が夜空を焦がします。scene1祈り 迫力のオープニング!、scene2凛 鹿花火も登場?! scene3伝統 奈良県で唯一の尺玉連打!scene4魂 感動のフィナーレ!というプログラムですが、鹿の顔をかたどった花火がまじるのはご愛敬です。そして午後6時30分、いよいよ点火。東大寺と興福寺の寺領あらそいに端を発したという説、春の芽生えを促すために枯れ草を焼いたという説など、その由来は諸説ありますが、まあどれでもよろしい。迫力ある火焔の乱舞を堪能させていただきましょう。山裾に火がつけられるとあっという間に燃え広がり、山全体を紅蓮の炎が包んでいきます。ファイヤー! わずか十五分ほどでしたが、迸る命のような劫火を満喫することができました。うん、また見に来たいものです。帰宅後にたまたま読んだ『かくれ里』(白洲正子 講談社学芸文庫)に次のような一文がありました。
 文智女王のお名を知ったのは、そういう偶然の機会であったが、ほんとうに興味をもったのは山村御殿を尋ねてからである。それは若草山の「山焼き」の日であった。橿原の方に用事があって行っていたが、奈良の人たちが、「山焼き」は、どこから見るのが一番いいかという話になり、円照寺のあたりが、人も込まないし、全体が見られるということで、帰りがけによってみることにしたのである。(p.201)
 円照寺か…今、調べてみたらすこし遠いのですが、穴場のようですね。選択肢の一つとして脳裡に刻んでおきましょう。

 本日の三枚です。
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by sabasaba13 | 2017-05-26 06:27 | 近畿 | Comments(0)
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