近江編(1):前口上(15.3)

 以前、滋賀県の錦秋を愛でたときに、こんなことを呟きました。
 ホテルの部屋に戻り、昼間だったら琵琶湖を一望できる大浴場に行って温泉を満喫。ルース・ベネディクトさん曰く「受動的な耽溺の芸術」ですが、気持ちいいものは気持ちいいのさ! でも「烏の行水」の私は、十数分ほどであがって売店で地酒を購入し、部屋で明日の行程を検討することにしました。しょぼいとはいえ自称歴史学徒のはしくれとしては、琵琶湖北岸にある菅浦にはぜひ行ってみたいですねえ。地下請・守護不入・自検断といった自治権を保持した中世村落にして、鎌倉中期から現在に至るまでの大量の共有文書(菅浦文書)を残していることでも知られています。村落の入口には往時の四足門も残っているそうです。朽木の興聖寺もそそられますねえ、昭和を代表する作庭家にして庭園史研究家の重森三玲氏が一番好きだという庭園が残されているそうです。しかし時刻表およびガイドブックで調べてみるとアクセスがよくないため、この二ヶ所を訪れるだけでかなりの時間が費やされそうです。せっかくなのだから、梅津、堅田といった琵琶湖岸の歴史ある町も訪ねてみたいもの。よしっ、今回は紅葉狩りに特化して、琵琶湖岸の小さな町めぐりは日をあらためて敢行することにしましょう。
 内に秘めていた"琵琶湖岸の小さな町めぐり"という野望を、とうとう実現することができました。時は2015年3月。一週間の休暇がとれたので、五泊六日で琵琶湖を一周してきました。幸い「滋賀を歩こう」という琵琶湖観光を紹介した好サイトにも出会え、これを軸にして行程を組み立てました。第一日目は夜に大津に到着し、ビジネス・ホテルに宿泊。第二日目は、五個荘と近江八幡を散策して京都に宿泊。第三日目は、久しぶりに桂離宮と修学院離宮を訪れて、長駆、近江八幡に移動して宿泊。第四日目は、水口・豊里・彦根・醒ヶ井を徘徊して長浜に宿泊。第五日目は、長浜・竹生島・木之本・菅浦・近江今津を彷徨してマキノに投宿。そして第六日目は、針江・朽木・堅田・坂本を探訪して帰郷。あいもかわらず貧乏性の、ハルク・ホーガンの筋肉のようにパッツンパッツンにつまった旅程ですが、臨機応変・神出鬼没、伸縮は自在のざっくりとしたものです。ま、適当かつ良い加減に歩き回るつもりです。持参した本は『終わりと始まり』(池澤夏樹 朝日新聞出版)と、『地に呪われたる者』(フランツ・ファノン みすず書房)です。

 2015年3月好日、仕事を終えた後、新幹線で京都に行き、琵琶湖線米原行きに乗り換えて大津駅に着きました。「ホテルアルファーワン大津」にチェックインをして荷物を置き、夕食をとるためにJR大津駅まで戻りました。さてどこで食べましょうか、帯に短し襷に長し、いろいろと迷った結果、近江地鶏が食べられる「鳥楽」に決めました。肉汁あふれる地鶏の唐揚げもわるくはなかったのですが、つきだしのザク切りキャベツが思いのほか美味しかったですね。
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ホテルに戻り、明日に備えて早々と就寝。おやすみなさい。

 本日の一枚です。
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by sabasaba13 | 2017-07-08 06:30 | 近畿 | Comments(0)
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