朝六時に目覚めてすぐに洗顔、インスタントコーヒーを飲んですぐにホテルを出発です。まずは浜大津駅から京阪石山坂本線に乗って皇子山駅へと向かいます。大津には、滋賀県立近代美術館、フェノロサの墓がある法明院、膳所には義仲と芭蕉の墓がある義仲寺がありますが、時間があったら最終日に寄ることにしましょう。
大津の中心街を歩いていると、洒落た意匠の窓がある和洋折衷の建築に遭遇。看板によると、この道が旧東海道なのですね。今、撮った写真をチェックしていると、その看板に「呉服の雁金屋」と記されていました。尾形光琳の実家と関係…ないですよね。小さな三角破風とメダリオン、その下の小ぶりなベランダ、スパニッシュ瓦、アンシンメトリーな庇など、見どころの多い愛らしい石田歯科医院や、その隣にある様々な意匠の格子が組み合わされ、二階軒下の肘木がリズミカルに並ぶ瀟洒な町屋も健在でした。旧友に出会ったような懐かしさを憶えます。近江牛が美味しい「かど萬」も元気に営業されているようです。 その前にある「旧大津公会堂」は、1934(昭和9)年、大津商工会議所と大津市立図書館とを併設した「大津公会堂」として建設されたもの。スクラッチタイルが印象的な、風格のある物件です。現在では、四つのレストランが入った交流・商業施設として再利用されています。以前に、ここにある近江牛のグリル&バー「モダンミール」で食事をしたことがありますが、常軌を逸した量のガーリック・ライスは忘れられません。 そして浜大津駅に到着、構内に自衛隊幹部候補生募集のポスターが貼ってありましたが、そのキャッチ・コピーが「未来を導く、指揮官になる」というもの。アメリカ合州国御用達暴力装置の指揮で、未来が導かれたらたまりませんね。一刻も早く国営国際救助隊「雷鳥」として再出発してほしいものです。 でも戦争法案が可決されて、使いっ走りとしてアメリカの国益のための戦争に加担することが可能となり、自衛隊に死傷者が出る可能性が大きくなった今、応募する人はいるのかしらん。と思ったら、『経済的徴兵制』(布施祐仁 集英社新書0811)を読んで、たいへんな事態が進行していることがよくわかりました。愚かだけれども支持率には敏感な安倍上等兵を筆頭とする自民党諸氏が、強制的な兵役制度を導入する可能性は低い。そうではなく、グローバルに拡がる経済格差の余波を受けた貧しい若者たちを自衛隊に志願させる「志願制」、すなわち「経済的徴兵制」が水面下で進行しているのですね。さまざまな優遇措置をとりそろえ、進学・就職できない若者を自衛隊に「志願」させるという手法です。引用します。 国立大学の学費は、1970(昭和45)年には年額1万2000円だった。それが今では学費の安い文科系学部でも50万円を超えている。もちろん物価も上がっているが、「消費者物価指数(総合)」では、2013(平成25)年を100としたら、1970年は32.6である。物価が約三倍になっているのに対して、国立大学の学費は約45倍に跳ね上がっている。そして自衛隊による軍事行動の目的は、アメリカの国益のためだけではありません。軍事力を背景に多国籍企業が自由に経済活動を行える世界秩序を守ろうという点では、日米の利害は一致しているのですね。引用します。 海外での「国益擁護」のために自衛隊をもっと活用すべきだという声は、経済界からも上がっている。「自衛隊が私たちの命と暮らしを守る」という甘言にいとも簡単に騙される国民。政治家・官僚・財界のみなさんにとってこんなに扱いやすい国民はいないでしょう。「未来を導く、指揮官になる」の「未来」とは、私たちを犠牲にして大企業が肥え太る「未来」なのにね。 本日の四枚です。
by sabasaba13
| 2017-07-09 07:39
| 近畿
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自己紹介
東京在住。旅行と本と音楽とテニスと古い学校と灯台と近代化遺産と棚田と鯖と猫と火の見櫓と巨木を愛す。俳号は邪想庵。
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