再び名鉄に乗り、知多半島西岸にある焼き物の街、常滑へ。常滑焼は六古窯の一つにも数えられる歴史の古い焼き物で、江戸時代末期に朱泥の茶器(あのお馴染みの急須)を開発、明治初期に土管の量産に成功したそうです。窯場めぐりも散歩のテーマの一つです。駅にある観光案内所で地図をもらい、さっそく徘徊を開始。あまり期待はしていなかったのですが、いいですよここは。アップ・ダウンのあるぐにょぐにょと曲がりくねった気持ちいい道を歩くと、風景の変化を楽しめます。点在する煙突、黒板の窯場、土管や甕で滑り止め・土止めをしてある坂、そして山々と海。道を曲がり坂を上ると突然空間が開いたり閉じたり、千変万化、まるで絵巻物のようです。特にいちき橋のあたりから眺めると、減ったとはいえいくつもの煙突が林立する街の景観を満喫できます。ん? どこかで見たことがある… プラハだ! どうでしょう、プラハと姉妹都市になって「百塔の街」として喧伝するのはいかが。"日本のプラハ"、いい響きじゃないですか。でも"チェコの常滑"と言われても向こうは意味がないか。
もひとつ嬉しいのは、風変わりな坂の名前をきちっと残していることです。セイソの坂、マルゴの坂、ゲンパチ坂、ヒデサの坂、デンデン坂、チョウゴロウの坂などなど。好奇心がムラムラとわいてきて、血沸き肉踊りませんか。地名を大事に残すってほんとに大事ですよね、その土地の歴史を刻んであるのだもの。一つ判明したのがデンデン坂。坂の上に廻船問屋があり、船が近づくと港から伝令が走ったのが由来だそうです。一番気になるのはセイソの坂、きっと掃除が行き届いているのでしょう。陶磁器会館によって土産を物色しましたが、食指をそそられる意匠の器がなく購入せず。土管・衛生陶器・植木鉢・急須に特化しすぎたのかな、生活雑器の制作でも頑張ってほしいですね。
本日の一枚です。百塔の街…