「東京人 神田神保町の歩き方」

 「東京人 神田神保町の歩き方 2004年度版」(都市出版)読了。今回は日記風にまとめてみます。山ノ神が長年愛用していたスキー靴が体重に堪えかねてとうとう分解してしまいました。年末にスキーに行く予定なので、神田で落ち合って買おうという段取りとなりました。出先の彼女から電話がかかってきたので、待ち合わせ場所を神保町にある東京堂書店一階に指定し場所を詳しく説明。書店に到着し、しばし新刊書をチェックしました。ここは大好きな本屋で、学生時代からお世話になっています。硬派な本を実直に商うというその気概やよし。最近インターネットで注文することが多くなったのですが、やはりこうした知性にあふれる本屋に時々立ち寄らないとだめだなと反省。表紙をみただけで肌にブツブツができそうな本が、平積みされています。さすがは東京堂書店! おっロバート・パーカーの最新刊だ、「御一新とジェンダー」も面白そう、寺山修司に関する写真集も欲しい、山田風太郎の戦後日記も出たか、小関智弘さんも元気そうで何よりだなあ… 結局、「天皇と東大(上)」(立花隆 文芸春秋)と「中村屋のボース」(中島岳志 白水社)と、本書を購入。「散歩の達人」を立ち読みして、適当なスキー用具店も調べておきました。が、待てど暮らせど山ノ神の御姿が見えない。可能性としては、イ:道に迷って泣いてる、ロ:中央線の事故、ハ:絵本のコーナーかトイレにいる。うーん、どれもありそう。ハタ 東京堂書店の支店があるのではっ! 店の方に訊ねたら、はす向かいに「ふくろう館」という支店があるとのこと。すわっ急げ。
 やっとのことで落ち合え、さっそく交差点の所にあるカドヤ・スポーツに行きました。小さな店ですが、店員の態度が大変暖かく丁寧で気に入りました。リヤ・エントリーのスキー靴はもはや売られていないことは、小生の経験でわかっていたのでフロント・バックルを買うしかありません。山ノ神の出した注文は「着脱が簡単で、地味なデザインで、転ばない靴!」というもの。私だったら、そんなチューリップの歌みたいな靴があるか、目をつぶれ、食いしばれとどやしつけるところですが、温厚かつ篤実な店主は一生懸命さがしてくれました。山ノ神が靴を履いたり脱いだりしている間、「何故リヤ・エントリーというきわめて便利で安楽な靴が市場から消えたのか」と店主に質問。彼曰く「前傾姿勢ができないので勧めないコーチが多い」ということです。別にステンマルク(古いなあ)みたいに滑れなくてもいいじゃん、なぜ快適さを犠牲にしてまでフロントバックルにこだわるのか理解できません。もしや一級だの二級だの、日本でしか通用しない愚にもつかない資格を取るためではないのか。私たちにとってスキーとは、天気の良い日に、安全に楽しく、景色を見ながら大きなシュプールを描いてロングコースを滑り降りる極上の遊びです。結局、ラケットと同じヘッドの靴が気に入ったようで、これに決定。ほんとに親切なお店でした。
 さて夕食は何処で食べよう。おっスヰートポーヅで肉まんを売っているのか(売切)、こんど買ってみよう。結局、揚子江飯店で上海肉焼きそば、揚子江炒飯、酢豚をたいらげました。美味美味。
 要するに何を言いたいのかというと、神保町が大好きなのです。もちろん書店や古本屋がたくさんあることも魅力なのですが、誇りをもった志のある店が多いということにつきます。本書は、神保町が好きで好きで好きでたまらないという方々がよせた神保町へのオマージュ。余計なことはもう言いません。東京堂書店店長の佐野衛さんのお言葉を引用して、キーボード叩くのをやめます。
 実は、いわゆる本屋の目で選んではいないんです。研究をしたり本を読んだりすることが本当に好きな人にとって、これは面白いだろうなというものを選んでいる。それは日々、自分でも本を読んでいないとわからないことなんです。
 いい言葉だなあ。もう一つ、フランス文学者鹿島茂さんのお言葉も引用したくなりました。
 いい店というのは、一人で行っても四人席に座らせてくれる。よくない店は空いててもカウンター席に座らされる。…そういう店に対して「つぶれろ」という呪いをかけると、本当につぶれちゃうんだな、これが。
 万感の思いを込めて賛同します。飲食店だけでなく、そういう呪いをかけなくてはいけない企業や官庁や政党がいっぱいありますよね。みんなでいっせいに呪いをかけましょう。

つぶれろ!
by sabasaba13 | 2005-12-22 06:07 | | Comments(0)
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