谷中七福神編(3):(06.1)

 不忍池にある弁天堂は予想以上の混雑でした。朱印を押すための七福神が刷られた版画の値段を見ると、1,200円! おまけに300円払わないと朱印を押してもらえないようです。縁起物だからいいじゃん、と許容する気にならず、信心深くもないので、朱印は一切カットすることにしました。
 このあたりにはたくさんの石碑が建ち並び、これを見ているだけでも楽しいですね。弁財天を祀っていることから、まずは音楽関係のものとして八橋検校や杵屋六三郎の碑がありました。それからどういうわけか調理関係の碑も多く、ふぐ供養や包丁塚。後者はあの名作「包丁人味平」の中で、味平が元五条流仲代圭介と包丁試しを行った伝説の場所です。それからめがねの碑、そして「放浪の画家・日本のゴッホ」と呼ばれる長谷川利行を顕彰した利行碑(揮毫は熊谷守一)などがありました。
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 ここから次の護国院に向かう途中に森鴎外旧居跡の碑があり、すこし行くと上田邸(旧忍旅館)がありました。ここにあったのか! これは嬉しい偶然です、マンサール屋根にイオニア式列柱を組み合わせた奇抜なデザインです。以前ある本で見かけていつか見たいと思っていたのですが、ここにあったんだ、眼福眼福。国鉄の下山総裁が轢死体で発見される直前に泊まっていた旅館だったような気がするなあ。記憶違いかもしれません。
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 そして大黒天がある護国院に到着、ここの庫裏一階部分は、歌舞伎座などを手がけた岡田信一郎の設計によるものです。少し先に行くと、こんな掲示がありました。労働者を大事にする姿勢がいいですね寺田商事さん、機会があったら(ないと思いますが)贔屓にさせていただきます。
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 昔の雰囲気をそこはかとなく残す味わい深い街並みを歩いていると「愛玉子(オーギョーチイ)」という摩訶不思議なお店を見つけました。今調べてみたところ、「愛玉子とは台湾でしか取れない果実。その果汁を寒天状に固め、シロップやかき氷をかけたり、あんみつに入れたりして食べる。大正初期からあるオリジナルの名物で、とうとう店名にまでなった伝説のデザート。藤山一郎、サトウハチロー、橋本明治、東山魁夷ら、愛玉子を愛した芸術家は数知れず、高名な作家の作品が飾られている。」ということでした。再来を期しましょう。すぐ近くの大雄寺にある高橋泥舟の墓を参を訪ね、珍々亭で炒飯をいただきました。TVで柳家小三治が「小言念仏」を噺しておりましたが、飄々とした味わいがいいですね、油がのっています。さて次は長安寺の寿老人、この寺には狩野芳崖の墓や板碑があります。
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 そして谷中霊園に向かい、幸田露伴の小説のモデルとなった五重塔跡を拝見して、毘沙門天のある天王寺へ。
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 そして下町情緒溢れる商店街「谷中ぎんざ」に向かいました。きれいな夕焼けが見える「夕焼けだんだん」という石段のある商店街です。
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 次なるは布袋のある修性院。この布袋さんはインパクトのある像ですね、夢にでてきそう。こちらには滝沢馬琴筆塚があります。その先が青雲寺の恵比寿。ダイエットの必要がありますが、苦みばしったいい男です。
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 ここから西日暮里界隈をぬけて田端にある東覚寺まで歩いて約15分です。門前に何やら赤い物体が二体並んでいます。何だ何だ何だと思い近寄ると、体中に赤い紙を貼り付けられた仁王、赤紙仁王でした。疾患のある部分に赤い紙を張って祈願すると治癒するという伝承で、もともとは江戸期に疫病鎮めのために建立されたようです。なるほど、赤の持つ呪力が疫病を鎮めるという民間信仰はよくみられますね、お地蔵さんの赤いよだれかけや、還暦の際に着る赤い羽織や、「赤ちゃん」という言い方もこれと関連があるのでは。それにしても人々の切なる祈りを具現化したようなその迫力には圧倒されました。京都の千本ゑんま堂や釘抜きさんを思い出しますね。
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 さて最後の七福神、福禄寿を拝見すると社務所に朱印乾燥用ドライヤーがありました。気が利いているというか、即物的というか… 二宮金次郎像があったのも驚きです。何が何でもおめーらの願いをかなえてやるぜ、べらんめえ、というその意気やよし。 なお裏手の庭園にはプチ七福神が配置されており、時間と体力のない方にはお勧めです。そしてJR田端駅まで歩いて、帰宅。
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 というわけでちょうどいい距離の散歩ができました。途中にある見所の多さと落ち着いた街の雰囲気という点では隅田川七福神より面白いのではないかな。朝倉文夫彫塑館(猫好きにはたまりません)、大名時計博物館、三遊亭円朝の幽霊画コレクションがある全生庵、岡倉天心記念公園など、面白い物件が目白押し。

 本日の一枚は、東覚寺庭園のプチ七福神です。あれっ一人多いな…
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by sabasaba13 | 2006-01-12 06:12 | 東京 | Comments(0)
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