武満徹|Visions in Time展
 先日、シギスヴァルト・クイケン&ラ・プティット・バンドの演奏会をオペラシティに聴きにいきました。山ノ神はぎりぎりの時間で駆けつけるということなので、各自で夕食をとり現地集合ということに決定。初台駅でおりて、さあ何を食べようか、鰻か寿司かと彷徨しておりますと、オペラシティアートギャラリーで「武満徹|Visions in Time展」を開催していました。盲亀の浮木優曇華の花、開演まで一時間ほどあるのでこれ幸いと入ってみました。正直に言って、彼の曲を聴いて感銘を受けたことはありませんし、日頃愛聴しているわけでもありません。しかし時々無性に聴きたくなることがあり、そんな時はその不思議で魅惑的な響きに身を浸らせます。聴き終わると心身の調律をすませたようで、すっきりとした気分になれます。私にとって必要な音楽家の一人ですね。
 自筆の楽譜や楽器・愛用品、彼自身が描いた絵に加えて、プロデュースした演奏会のポスターや資料、音楽を担当した映画のポスターが展示されています。「ノヴェンバー・ステップス」の自筆楽譜ではその誠実で几帳面で厳しい筆致に目をひきつけられました。愛用の机の上には、丁寧に尖らせた鉛筆がきちっと長い順に並べられ、脇には無骨な手動式鉛筆削りがすえつけられ、筆記用具は無造作にUCC珈琲の缶の中に入れられています。彼の虚飾を排した飾らなさと真面目さがひしひしと伝わってきました。けん玉の腕前がプロ級だったとは知らなんだ。彼は長野県の御代田の山荘に住み、自然の奏でる音からさまざまなインスピレーションを受けていたとのこと。もし公開されているのであれば、ぜひ訪れてみたいな。調べてみます。最後の随筆集「時間の園丁」の自筆原稿も展示されており、その字がころころと丸く愛らしいものだったのが意外でした。音に対しては厳しく、言葉に対しては優しい人だったのかもしれません。
 そして彼と交友があった芸術家(ジャスパー・ジョーンズ、イサム・ノグチ、宇佐美圭司、堂本尚郎…)の作品や、彼がインスパイアされたパウル・クレー、オディロン・ルドン、村上華岳の作品も展示されています。彼が華岳の山水画に興味をもっていたとは知りませんでした。そうした作品を見ながら、彼の曲をヘッドフォンで聴けるという展示も素晴らしい。ほんとに残念ながら時間が足りないので、ほんの少ししか聴けませんでした。武満徹ミュージアムをつくって、このコーナーを常設してくれると大変嬉しいのですね。
 入場者も数名、静謐な雰囲気の中で武満徹のさまざまな営みに触れ、楽しむことができました。お薦めの展覧会です。今、「雨の木」を聴きながらこの一文を書いておりますが、車軸のように降っている夕立と彼の音楽が共鳴しあっているようです。

●オペラシティアートギャラリー http://www.operacity.jp/ag/
by sabasaba13 | 2006-05-22 06:06 | 音楽 | Trackback(1) | Comments(0)
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タイトル : イサム ノグチ
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