常陸編(2):満蒙開拓青少年義勇軍内原訓練所(06.4)

 実は数年前に、訓練所の記念碑と復元された日輪兵舎を見るために来たことがあります。内原駅に着くと、その記憶がまざまざと蘇ってきました。そうだ! 駅にコインロッカーがなかったんだ。相変わらず観光客を誘致しようという気持ちはないようですね。ま、荷物も軽いし別にかまわないのですが、やはりあったほうが便利だと思います。時刻表をデジカメにおさめ、駅から歩くこと約15分で内原郷土史義勇軍資料館に到着です。入館料は無料で、規模は大きくないのですが、当時の衣服や諸道具、訓練所での生活についての資料などが展示されています。気になるのは、2000万ヘクタールの移民用地を強制収用して住民に途端の苦しみを与えたことなど満州移民についての負の側面についての解説が全くないことです。唖然としたのは次の解説文です。「…満州の開拓村は、まさに洋々たる前途が約束されていたといえよう。したがって何事も起こらずに、この開拓事業が以後十年続けられたならば、どのような村づくりが進展したであろうか。それは素晴らしいものがあったに違いない。不幸にして敗戦によって挫折したことは、まことに惜しいかぎりである。」 まるで無人の荒野で始められた開拓事業が、天災によって失敗したかのような、他者の存在と歴史の大きな状況を無視した視野狭窄的な解説。要するに、日本側の一方的な立場から満蒙開拓を顕彰するための資料館です。シベリア抑留を歌った「異国の丘」に「我慢だ待ってろ嵐が過ぎりゃ 帰る日も来る春も来る」という一節がありますが、政治や戦争をふいに襲ってくる天災としか捉えられない視角から脱却できていないのですね。また“嵐”がやってきても、われわれはじっと我慢をして、過ぎ去るのを待つのでしょうか。
 資料館の裏には、日輪兵舎が復元されていました。わずか五日間で建てることができる、60人を収容する簡易な兵舎です。その脇には、資料館建設に寄付をした方々の名を刻んだ大きな碑がありましたが、驚いたのはその数。全国各地から数百人の方が寄付をされていました。おそらく入所していた方々なのでしょうが、義勇軍に対する思い入れには圧倒されます。その思いを残したまま、他者の存在を視野に入れ、時代の大状況から歴史を振り返ることはできないのでしょうか。
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 さてぽつねんと座っている係の人に、附近の史跡に関する地図を所望し、訓練所跡記念碑までの道を訊ねました。ところがぎっちょん、この史跡保存会作成の地図が曖昧模糊かつ茫漠としたもので使えません。地図による探索を断念し、教えてもらった通りに行ってみることにしました。えーと、右にしばらく歩いていくと信号のある十字路があるんだな。ところがそこは信号のないT字路。しばらく右手に歩いても、目印となる農道も大きな枝垂桜も見当たりません。訊ねたくても、人影なし、やれやれ。マッサージ屋に入ろうとしていた男性に道を訊ねて、やっと探し当てることができました。木立に囲まれた小さな緑地の一画に、高さ数mはある「満蒙開拓青少年義勇軍内原訓練所之碑」という大きな記念碑と、その奥には復元された日輪兵舎。その脇を通る桜並木道が、訓練生が改修した内原駅に続く渡満道路のようです。
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 本日の一枚です。
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by sabasaba13 | 2006-07-03 06:15 | 関東 | Comments(6)
Commented by さっと at 2008-03-08 08:47 x
こんにちは。近々この場所を訪ねる予定なのですが、詳しい地図がてもとにない状態で、その位置はなんとなく把握している状態です。駅に案内板でもあればいいのです(本文からは期待できそうにありませんね)が、そのあたり、ご教示いただければ幸いです。
Commented by sabasaba13 at 2008-03-09 09:33
 こんにちは、さっとさん。水戸観光協会のHPにある地図がわかりやすいかと思います。
http://www.mitokoumon.com/shisetsu/kankou/giyuugun.html
 なお訓練所跡記念碑については、できれば正確な地図を持参して学芸員の方に詳しく教えてもらったほうがいいと思います。文中にも書きましたが、資料館にある地図はきわめて大雑把なものでした。(今は改善されているかもしれませんが) もし旅行記などを書かれたらぜひ教えてください。それではよいご旅行を。
Commented by さっと at 2008-03-09 19:31 x
こんばんは。記念碑の位置については、とくに、注意したいと思います。アドバイスありがとうございました。
Commented by sabasaba13 at 2008-03-09 20:58
 こんばんは。どういたしまして、お役に立てて嬉しく思います。もし徒歩で行かれるのでしたら、途中にある地蔵院に義勇軍の遺骨を祀る「満蒙開拓殉職者之碑」がありました。常陸編(3)をご覧下さい。Von voyage!
Commented by さっと at 2008-03-18 17:29 x
こんばんは。さっそく訪ねてきました。資料館と訓練所跡の碑を見てきましたが、タクシーだったので、それほど迷うことなく行けました。館内の方は大変親切で、資料もたくさんいただきました(もらった地図も正確でしたよ)。
Commented by sabasaba13 at 2008-03-24 21:00
 こんばんは。それでは多分地図は改善されたのですね。今にして思えば、私もタクシーを利用すればよかったと思います。実は一度目にここを訪問した時に乗ったタクシーの運転手さんからいろいろな話を伺えたことを思い出します。実は、渡満道路に関することその時に教えてもらいました。
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