房総半島編(2):館山(06.7)

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 閑話休題、降車して駅前にある観光案内所に入ると、青木繁作「海の幸」(久留米の石橋美術館蔵)の写真が飾ってありました。なるへそ、彼がこの絵で描いた布良(めら)海岸は館山の近くなんだ。解説を読むと、林芙美子が「夜猿」の中でこう書いています。 
布良と云ふところは、萬葉にも歌はれてゐる土地で、黒潮の流れる太平洋の海の色は、まるでビロードのやうだと聞き、空想家の繁は、胸のなかに想像の海潮音を描いて、たまらなく描きたくなつてゐた。そこへ行けば、何か巨きなロマンチックな畫材と希望が自分を待つてゐてくれるやうな氣がした。
 なお一人だけこちらをふりむいている人物が、愛人の福田たねと言われています。この二人のことが少し気になったので、インターネットで調べていると、「ペンネーム図鑑」という面白いサイトにでくわしました。それによると、この二人の間に生れたのが、『笛吹童子』のテーマ曲(ヒャラーリ、ヒャラリーコ…)を作った福田蘭堂で、本名の幸彦はこの絵から名付けられたそうです。そして彼の子どもが、クレージーキャッツの石橋エータロー。へえー、彼は青木繁の孫だったんだ。他にも、福地源一郎は、通った吉原の娼妓「桜路」が好きで「桜」に入れ揚げた「痴れ者」という意味で桜痴と名乗ったなどという、有益だか無益だかよくわからない情報があふれています。
 それはさておき、この絵を使って、巨大なはめこみ(穴の開いた部分に顔を入れて記念写真をとるボード)を作ってはいかがでしょうか、館山市役所観光課のみなさん。話題になるだろうし、福田たねの部分から顔を出して写真に撮ると、恋愛が成就するなどという都市伝説も生れるかもしれません。名画への冒涜などという野暮は言いっこなしで、試してみては。

●ペンネーム図鑑 
   http://www.toyama-cmt.ac.jp/~kanagawa/pen-name/index.html
by sabasaba13 | 2006-07-25 06:16 | 関東 | Comments(0)
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