テニアン・サイパン編(13):サイパン(06.8)

 本日は自転車ツァーです。私の行きたい所を満遍なくまわってくれるオプショナル・ツァーが見つからず、これがベターかなと判断しました。送迎の車に乗って、「マリアナス トレッキング」という業者の事務所に連れていかれました。参加者は十人ほどです。まずはグロットです。海水をたたえた鍾乳洞で、海へと抜けられる水中の洞窟が三つあり、そこから差し込む光によって神秘的な色をかもすということです。ここでシュノーケリングをさせてもらえるということも、このツァーを選んだ一つの理由です。車から降り、水中眼鏡・シュノーケル・ライフジャケットを貸してもらい、100段ほどの石段を下りた所にありました。上から見ているだけでも美しい青色に身が震えます、こりゃぜひもぐってみたい。岩の上からドボンと飛び込むと、そこは別世界。壁面にある洞窟から差し込む光が、凄絶かつ妖艶にして深みのある青色をかもしだしています。こんな青は見たことがない! この世に生を受けて三十四年(嘘)、今まで見てきた青は青ではなかったんだあ! 今回の旅行では、水中撮影用のカバーを持ってきたので写真撮りまくり。サイパンに来たらここは必見です。
テニアン・サイパン編(13):サイパン(06.8)_c0051620_18565943.jpg

 また車に乗りしばらく走るとイスレタ・マイゴ・ファン(鳥の寝る島)、通称バード・アイランドに到着です。石灰岩でできた小島で、たくさんの海鳥が巣をつくっています。対岸の展望台から眺めるだけですが、よーく目をこらすと芥子粒のような鳥たちが飛び交っているのがわかります。アジサシかな。そして他のみなさんは違うコースに行くのでここでお別れです。自転車ツァーに参加するのは言わずと知れた偏屈なわれわれ二人のみでした。そのひねくれ者二人のために、自転車を載せたバンが一台、ドライバー、ガイドのTinoさん(パラオ出身)、自称ボディガード、計三人が付き添ってくれます。採算は取れるのかいな、と心配になりました。まずはラデラン・バナデロ、通称スーサイド・クリフに向かいます。戦争中に多くの兵や民間人が自害をした目が眩むような急峻な崖です。付近には数多くの慰霊碑が建ち並んでいました。
テニアン・サイパン編(13):サイパン(06.8)_c0051620_18571571.jpg

 青い海原が見渡せるこの絶景の地で身を投じた人たち、捕虜になるよりはと家族や知人を殺害して自らの命を絶った方々、さぞや無念だったでしょう。旅行中に読んだ本の中にこの詩がありました。(栗原貞子 「ヒロシマ消去法」)
死者たちよ 安らかに眠らないでください
石棺を破って たちあがり 飽食の惰眠に忘却する生きている亡者を
はげしくゆすって 呼びさませてください
 人間をそこまで追い詰めた責任と加害者の追及、そしてそうした行為を繰り返すまいとする努力、われわれがこれを怠らぬよう激しく揺すってください。そしてもしあなた方の中に加害者がいたとしたら、その被害者も石棺をけやぶるであろうことも忘れないでください。Tinoさんの話によると、昨年天皇もここに来て追悼をしたそうです。ここから身を投じた死者たちは何と言ったのでしょうか、天皇陛下万歳? それとも…

 本日の三枚は、グロット、バード・アイランド、そしてスーサイド・クリフです。
テニアン・サイパン編(13):サイパン(06.8)_c0051620_19124273.jpg

テニアン・サイパン編(13):サイパン(06.8)_c0051620_19125921.jpg

テニアン・サイパン編(13):サイパン(06.8)_c0051620_19131376.jpg

by sabasaba13 | 2006-10-26 06:11 | 海外 | Comments(0)
<< テニアン・サイパン編(14):... テニアン・サイパン編(12):... >>