北陸・山陰編(8):長坂の棚田(06.9)

 そして長坂の棚田へはタクシーで行くしかないので、さっそく駅前で客待ちをしていた運転手と交渉開始。納得できる値段で一時間貸切にすることにし、出発です。これが旅の楽しみの一つなのですが、さっそく運転手さんと四方山話をはじめました。街の景気は、と訊ねると「過疎、過疎、もう過疎っ!」というお答え。漁業で暮らしていける人はほんの一握りで、ほとんどの人は高岡か富山に働きに行くか、街を出て行ってしまったそうです。よって日中はほとんど無人の街で、ときおりお年寄りを見かけるだけ。そのため氷見線の運行本数も減り、通学する高校生のために動いているようなもんだ、とのお話。魚が美味しくていい所なのに、と言いますと、本当に美味しい魚は全部築地へいっちゃうよ、とのお答え。(魚よりも氷見うどんがおいしいよと教えてくれました) うーん、地方が追い込まれている様子をひしひしと感じます。さて海沿いの道をしばらく走り、山道に入って20分強で長坂の棚田に到着しました。9月下旬ということで、黄金色に輝く稲穂が見られるかなと期待していたのですが、残念ながら半分以上が刈り取られていました。陽も山陰に落ちて薄暗く、これも残念。しかしどんな状況においても、棚田は棚田、見とれてしまいます。ここはオーナー制度を取り入れているようで、ほとんど休耕田もないようですね。
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 そして駅に戻る途中に、巨木があるとの話をうかがい、そこに寄ってもらいました。まずは長坂の大いぬぐす。推定樹齢500年、産土神として地域の人々に崇敬され続けているそうです。空を埋め尽くさんと四方に伸びる枝と葉、力瘤のように盛り上がる幹を見ていると、神性を感じるのは自然な感覚だと得心しました。万葉の歌人たちが「神さび」と表現したのも、こうした姿なのではないかな。次は長坂不動の大つばき。こちらは推定樹齢400年、つばきだけにそれほど大きくはないのですが、志村喬演じる古武士のような風格です。満開の頃はさぞきれいでしょう。
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 本日の二枚は、長坂の棚田と長坂の大いぬぐすです。
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by sabasaba13 | 2006-11-23 08:36 | 中部 | Comments(0)
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