「不都合な真実」

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 先日、六本木ヒルズにある映画館で「不都合な真実」を見てきました。開演十五分前に山ノ神と現地で待ち合わせ。少し早めについたので、しばし付近を散策しましたが、以前も書いたようにきわめて不快な場所です。このあたり一画を梱包して熨斗をつけてキリマンジャロの頂に郵送してやりたい。(迷惑ですよね、すみません) 大量消費、ブランド志向、ファッションとダイエットと異性にしか興味がないような人々、そして何よりも屋外の人気のない場所でも煙草を吸わせない狭量さ! 映画を見終わったら、さっさと立ち去りましょう。

c0051620_67397.jpg この映画は、ずばり、アル・ゴア氏が地球温暖化を警告するドキュメンタリー映画です。クリントン政権において副大統領を務め、2000年にはあの疑惑が残る大統領選挙でブッシュ氏に敗れた人物です。学生の頃から地球温暖化について感心を持っていた彼は、その後スライド講演を世界各地で開き地球の現状に警鐘を鳴らす活動を行います。彼の人生のいろいろな局面を織り交ぜながら、講演の様子を中心に描いたのがこの映画。まるで鈴木孝政投手(元中日ドラゴンズ)が投げる切れのよい直球を素手で受けたような気持ちです。専門家なみの知識をもって、具体的なデータ・映像を駆使しながらゴア氏が語りかける深刻な、ほんとうに深刻な温暖化の現状には重い衝撃を受けました。まず大気中のCO2(二酸化炭素)が、ここ十数年の間に異常に増えていること、そして気温が以上に高い年が増えていること、これは科学的データから見て間違いありません。その結果、一体何が起こるのか? 釈迦に説法ですが、ゴア氏は起こりうる現象を下記のように列挙されています。もうすでに発生している現象もいくつかありますね。
ハリケーンがより大型になると予測される。
猛烈な嵐が洪水を引き起こす一方で、他の地域では干ばつや山火事の数が増える。
海面上昇のため、海抜の低い島は居住不可能となる。
森林や農場、各都市でも、新種のペストや、蚊が媒介する多くの疫病が発生する。
珊瑚礁や高山の草地などの環境破壊で、多くの植物や動物の種が絶滅する可能性がある。
 そしてここ十年の間に本気でCO2の削減措置をとらないと、五十年後にはとんでもない事態になることがよくわかりました。たとえその措置によってわれわれの暮らしや経済に「不都合な」結果が生じようとも… 彼は特にアメリカ国民に警告をしていますが、もちろんわれわれを含めて全世界の人々が真剣に取り組むべき問題です。一人ひとりが最善の努力をするとともに、彼が映画で強調していたのは政治的な意思が絶対に必要だということ。個人ができることを列挙する最後のテロップの中で、「地球温暖化を食い止めようとする立候補者に投票すること、もしいなければ自分が立候補すること」という一文がありました。プログラムを購入したところ、この部分だけが載っていないのは胡散臭いですね。こうした事態に関心をもたない自民党への配慮なのかな。いずれにせよ、各政党の尻をひっぱたき、そして選挙に行って真っ当な立候補者に投票することが重要ですね。棄権なぞしている場合ではありませぬ。
 忘れてはいけないのは、人類はもう二つの難問を抱えています。テロ・戦争の廃絶と、世界規模における貧困の撲滅。この三つのアポリアをどうつなげて一挙に解決するのか。人類の叡智が問われています。
 
 そして心に残ったのは、ゴア氏の語り口です。熱くそして冷静に、真摯に、知的・論理的に、時にはユーモアを交えながら、問題点を正確に伝えようとするその話し方にはいたく感銘を受けました。天性のものであるとともに、厳しい訓練もしたのでしょう。言葉で人を説得して支持を得るという、民主主義(いちおう「権力の行使を人任せにしないこと」と定義しておきます)に欠かせない技術がアメリカの政治家には必須のものなのですね。ついつい知性や知能の片鱗も感じられない小泉元軍曹や安倍伍長の話し方と比べてしまいました。ま、国民は自らの知的レベルを超える政治家は持ち得ないということなのかな。

 外に出ると、温暖化など糞食らえと言わんばかりにあざとく輝く六本木ヒルズのビル群が林立していました。そして「南翔饅頭店」で小籠包を堪能。「鼎泰豊」にくらべて豚肉の存在感が強いですね、山ノ神はこちらがお好み。私は、スープと具と皮の見事なバランスを評価して後者に軍配を上げます。左が「南翔饅頭店」、右が「鼎泰豊」の小籠包です。
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by sabasaba13 | 2007-02-13 06:08 | 映画 | Comments(0)
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