さて急ぎましょう。北上して京都大学近辺に到着、地元の方々に道を訊ねながら少々遅刻して重森三玲邸にたどりつきました。彼は昭和を代表する作庭家にして庭園史研究家、代表作は東福寺方丈庭園。その彼の邸宅の一部と自ら設計した枯山水の庭が公開されており、事前予約をすれば見学できます。またイサム・ノグチとの交友もあり、しばしばここを訪れたとか。パリにあるユネスコの日本庭園を設計した際に重森の助力を求めたことが、交友のはじまりだったそうです。書院に通され、しばし係の方が庭と建物に関する説明をしてくれました。眼前には枯山水、縦方向に尖った石がバランスよく配置され、二色の苔と白砂がモダンな意匠をつくりだしています。書院にはイサム・ノグチから贈られた「あかり」が二つ。ここから左にまわりこむと茶室「好刻庵」があります。正面にある障子は青と銀の市松模様で構成された、波と舟を模しているかのような斬新な意匠です。右手にはモンドリアンを思わせるような違い棚、そして彼が製作した陶器製の釘隠し。茶室の左手にある水屋と坪庭もいいですね。前者は曲線と斜めに配置した直線をうまく組み合わせています。立石と長方形の平石を白砂の上に配置した、現代彫刻のような坪庭も見ものです。好刻庵にあがって抹茶をいただき、しばし時を忘れました。濃密にして洒脱、モダンにして古典、一見の価値あるお庭です。詳細な情報については下記のサイトをどうぞ。
●重森三玲邸庭園
http://www.est.hi-ho.ne.jp/shigemori/
本日の四枚です。