山陽編(2):山口~岩国(04.10)

 薄曇ですが、本日はまず山口へ。日明貿易により富を得た大内氏により築かれた城下町で、応仁の乱以後京都の文化人・知識人が避難し殷賑を極めた場所です。駅で自転車を借り、県立美術館、サビエル記念聖堂を見物。彼が山口で布教を始めてから400年を記念して作られたものです。
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 旧県庁舎の外観を見てから、瑠璃光寺へ。五重塔と木々が池の面に映り、それを借景となる背後の山々が優しく抱く。いいですね。若山牧水の歌碑と雪舟の銅像がありました。雪舟がこの山裾に「雲谷庵」というアトリエを構えていたそうです。このあたりは香山公園として整備されていて、桂小五郎と西郷隆盛らが討幕の密議を行ったという枕流亭が移築されていました。
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 さらに二十分ほどペダルをこいで常栄寺へ。雪舟が作庭したと伝えられる庭園が残っています。テープによる説明のくどさには辟易しましたが、この庭園は素晴らしい。石組だけで自然を表現するいわゆる枯山水なのですが、様々な形の石と幾何学的な植込みを、芝生の上でバランスよく配置した構成力は卓越したもの。雪舟の手によるものかどうかはさておいて、しばらく佇んでしまいました。「庭は地球の彫刻である」というイサム・ノグチの言葉を思い出します。眼福眼福。
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 そして情緒豊かな一の坂川沿いの遊歩道を快走して湯田温泉へと向かいま、キキーッ 「→亀山湯」という看板を発見。よし寄り道じゃ。直線主体のアール・デコ+インターナショナル様式に瓦屋根がのっかっているのも見物ですが、現役の煉瓦作りの四角い煙突がすごい。韮山の反射炉かと思いました。拳で小さくガッツポーズをつくって撮影。
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 さあ急がな、キキーッ 塀の上で猫が見つめています。山ノ神のコンピュータのスクリーンセーバーに、過去撮影した猫の写真をスライドショーとして設定したらいたくご満悦のようだったので、とりあえず奉納品として撮っておこう。パシャ ちょっと無愛想・不細工な白猫だったけど。15分ほどで湯田温泉に到着、お目当てはご当地出身の中原中也記念館です。学生の頃彼の詩が好きで「サーカス」を暗誦したなあ、なんてあまづっぱい思い出にひたりながら見学。この詩に出てくるサーカスが興行された場所を金沢で見た覚えがあるのですが、年譜を見ると、中也の父は陸軍軍医で彼が5~7歳の頃金沢に赴任していたとのこと、納得。彼の詩の特徴のひとつはオノマトペ(擬声語)なのですが(ex.ゆやーんゆよーんゆやゆよん)、小学校6年の時に書かれた作文を読んでこれも納得しました。「たゞ白雲が綿のやうにプアプアたゞよふて居た」 栴檀は二葉より香し、ですね。
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 山口駅で自転車を返却し、再び新山口へ。徒歩で山頭火の旧居を復元した「其中庵」と、現役で実働している転車台を見物して、山陽本線で岩国へ移動です。
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 防府・柳井に後ろ髪を引かれつつ約2時間で到着、すると小糠雨です。感謝の舞が気に入らなかったのか、猫のせいか、山ノ神の神罰かな。バスに乗ってまずは旧岩国学校(現教育資料館)へ直行。典型的なインク壺型の擬洋風学校建築です。唐突にとってつけたような鐘楼部分がキュート。そして歩いて十分、錦帯橋へ。初めて拝見するのですが、プロポーションといい、ロケーションといい見事な橋ですね。下から見上げると橋裏の構造がまた凄い。今年架け替えられたばかりですが、これからは技術伝承のために五十年ごとに架け替えるそうです。竹筋コンクリートという珍しい構造の岩国徴古館(昭和20年築)を見物してタクシーで駅へ。山陽本線で広島乗り換え、今夜の宿泊地、呉に到着しました。夕食はもち、カキフライ定食。口福口福。
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 本日の二枚は、瑠璃光寺と錦帯橋です。
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by sabasaba13 | 2005-02-07 16:52 | 山陽 | Comments(0)
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