三浦半島編(6):平塚(07.3)

 歩道橋を渡って横浜ゴムの方向へ少し歩くと右手に八幡山公園があり、「平塚戦災復興事業完成記念」の碑があります。そのすぐ先が、もと海軍火薬廠であった横浜ゴムです。
c0051620_8231898.jpg

 前掲諸の情報によると、ここには海軍士官の親睦団体であった水交社の集会所、迎賓館、奉安殿が残っているそうです。奉安殿と聞くとアドレナリンがふつふつと分泌してくるたちで、これはぜひ見てみたい。学校に付属する奉安殿・奉安庫はいくつか見てきましたが、軍需施設のものは初見です。“石橋を叩いたら壊れた”的な性格の方でしたら事前に見学の可否を確認するのでしょうが、“人生楽ばかり”的な性格の小生は何とかなるだろうとたかをくくり、アポなしの飛び込み見学です。門をくぐり受付にいた警備の方にその物件について尋ねると、すでに解体されてしまったとのことです。現市長は市内の公園に移築・復元を考えているようですが、景観をこわすとの理由で反対運動が起きているそうです。次の選挙で勝てばこの計画は実現するであろうぞとのお答え。だめもとで、奉安殿にの存在について尋ねると、「そこの林の中にあるよ」 やりいっ! 本来ならば関係者立入禁止なのですが、そこを拝み倒し、写真撮影をしないという条件で見せてもらうことにしました。受付のすぐ前の林の中に行くと、切妻屋根でコンクリート製の奉安殿がありました。標準的な形態ですね。門扉は固く閉じられ中を見ることはできませんでした。そのすぐ後ろには防空壕への入り口、道路をはさんで海軍関係の事務所らしき古い建築も残っていました。門柱も戦前の物件のようです。丁重にお礼を言い門から出て少し先へ歩くと、「海軍火薬廠の跡」という記念碑がありました。「…昭和二十年まで日本海軍の火薬技術の中心として、数多い功績を残すと共に、平塚市の発展と文化に多大の貢献をしたところである。ここにその事跡を偲びこの碑を建てる」 ここでつくられた火薬が、アジアの一般民衆の生命をどれくらい奪ったのかについても偲んでほしいものです。なお碑文にはその嚆矢は日本政府と、ノーベル、アームストロング、チルウォースの三会社によって設立された日本爆発物製造株式会社であるという記述がありました。たまたま持参した「日清・日露戦争」という本に、日清戦争時におけるアームストロング社(英)とクルップ社(独)の激しい武器売り込み合戦についての説明がありました。結果はアームストロング社製軍艦と大砲の優位性が証明され、以後日本政府による膨大な発注が行われるようになったそうです。そうした動きと関連しているのかもしれません。なお同書にある「黄海海戦以後、幕末とは比較にならない規模の、欧米武器商人の一大見本市でもあり、武器マーケットとしてのアジア、という欧米の旨味が以後100年以上も続いていく」という記述がぐさりと胸に突き刺さりました。今、日本の軍需産業がその旨味にたかろうと暗躍しているわけですね。憲法九条改正/改悪の動きは、武器の輸出を抑制する枠を取り外そうというものでしょう、ねっ安倍伍長。
c0051620_823473.jpg


 追記。下記のようなニュースをインターネット(産経新聞)で知りました。
武器三原則 防衛相「緩和検討の時」

 久間章生防衛相は2日午後、ワシントン市内のシンクタンク、ヘリテージ財団で講演し、外国への武器や技術の輸出を原則として禁じた武器輸出三原則について「日米で共同開発をしていこうとするときに現在のままでいいのか、検討する時期に来ている。研究していく」と述べた。
 三原則の見直しは久間氏の持論で、日米同盟を具体化するには武器輸出の緩和が不可欠との認識を示したものだ。
 久間氏は「(武器などの)装備品の開発にはカネがかかる。一国だけではやりにくく、共同研究や共同開発をしなければならない」と指摘。今後は国際的な共同研究・開発を活発化させることで、装備品の調達コストを下げる必要があるとの考えを示した。
 政府は三原則に関しミサイル防衛(MD)システムの日米共同開発を行うため、平成16年12月の官房長官談話で共同開発にかかわる輸出を認めた。昨年6月にはインドネシアによるテロ・海賊行為防止を支援するため巡視船の輸出を認めている。
 武器輸出三原則は「平和国家」の理念から、武器輸出を原則として禁じた政府の基本方針。
 昭和42年、佐藤内閣が(1)共産国(2)国連決議で武器輸出が禁じられている国(3)紛争の当事国またはその恐れのある国-に対する武器輸出を禁止。51年に、三木内閣が対象地域以外への輸出も慎むとの政府統一見解をまとめた。58年には、中曽根内閣が武器技術に限って米国に提供する道を開いた。
 武器を作るということは、貧しい人々に向けられるべき予算が食いつぶされ、その武器で貧しい人々が殺しあう、つまり二重の意味で唾棄すべきおぞましい行為だと思います。そして軍需産業が力をもてば、ジャガノート(※)のようにおおぜいの人々の死を生贄として必要とする、どこぞの国みたいになってしまうのにね。久間氏、安倍伍長をはじめ、そうした社会の到来をわくわくと待ち受けるすべての人に、ドワイト・アイゼンハワー元アメリカ大統領の言葉を捧げます。
 銃が作られ、軍艦が進水し、ロケット砲が発射されることは、食べ物や衣服さえなく、寒さに震える人々に対する究極の窃盗を意味する。
 ※インド神話に登場するクシュリナ神を載せる巨大な山車。その巨輪に轢かれて死ぬと極楽往生するという迷信があり、祭りの最終日、多数の老若男女が自ら身を投げ出してこのジャガノートの餌食になった。
by sabasaba13 | 2007-05-05 08:52 | 関東 | Comments(0)
<< 三浦半島編(7):平塚(07.3) 三浦半島編(5):平塚(07.3) >>