三浦半島編(12):記念艦「三笠」(07.3)

 この公園は港に面していて、ボード・ウォークが設置されています。すぐ目の前には海上自衛隊の基地があり、軍艦(「自衛艦」と詐称していますが)や潜水艦が停泊しているのがよく見えます。また日本で初めてつくられた本格的なドライ・ドックも遠望できます。「ニッポン近代化遺産の旅」(清水慶一 朝日新聞社)によると、これもヴェルニーらの設計で一号ドック(1871年開渠)、三号ドック(1874年開渠)がつくられましたが、もっとも規模の大きい二号ドックは恒川柳作という技師が完成させたそうです(1884年開渠)。無に近い状況からわずか二十年ほどでドック建設技術を体得したという、日本技術史の金字塔なのですね。ぜひ間近で見てみたいのですが、無理なのでしょうか。なお横浜にあるドック(ドック・ヤード・ガーデンと日本丸が繋留されているドック)も彼の手によるものです。
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 公園の一角には、旧海軍を偲ぶ記念碑が林立、正岡子規の「横須賀や只帆檣の冬木立」という句碑もありました。1888(明治21)年に友人と漫遊した時の句だそうです。そういえばにも「呉かあらぬ春の裾灯をともす」という彼の句碑があったっけ。こちらは日清戦争に出征する友を見送った時の作です。
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 さてここから三笠公園へと向かいましょう。途中にある米軍基地のゲートや、高い塀と金網で囲まれた米軍施設を見ながら、つくづくこれじゃあ植民地だよなあと思い入りました。「パティオ」という店で煮込みハンバーグと珈琲をいただき、記念艦三笠に到着です。
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 言わずと知れた日露戦争・日本海海戦の時に、連合艦隊司令長官東郷平八郎が乗り込んだ旗艦(英国ビッカース・アンド・マキシム会社製)です。内部は公開されているので、さっそく乗り込みました。「人を殺し物を壊す」という機能に徹底した、軍艦という武器の存在感には圧倒されます。しかし、砲弾が飛び交う中でこの艦を操作し敵艦を攻撃すると想像しただけで恐怖心を覚えます。怖い… そうした恐怖心を押さえ込み克服させてしまうものは、やはり愛国心なのでしょうか。あらためて“国家”というリヴァイアサンの力の凄さを感じました。
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 最上艦橋は、東郷平八郎が指揮をとったところで、彼および加藤友三郎参謀長・伊地知彦次郎艦長・秋山真之参謀がいた位置が丸い金属性プレートで示されています。秋山は東郷のすぐ左後ろ、さすがに重要なポジションにいたようですね。
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 内部の展示には、さして興味を引かれるようなものはなし。靖国神社の遊就館と同じようなレベルのものです。日本は悪い事はしていない日本は悪い事はしていない日本は悪い事はしていない日本は悪い事はしていない日本は悪い事はしていない… そうそう「国旗のある自由画コンール入選作品展」には驚きました。主催は社団法人国旗協会、選考基準はのびのびとした子供らしさがあり画題とマッチした国旗の描かれている作品、だそうです。子供らしさと国旗? まるでロートレアモンの詩のようですね。手術台の上での子供らしさと国旗の出会い… シュール・リアリズムだなや。インターネットで調べたら、この協会設立の目的は「国民の理想を表わし、国を象徴する国旗の正しい理解と普及に努め、健全な国民の育成に資すると共に、世界の人々との間に相互理解の精神をつちかい、明るい日本と平和な世界の建設に寄与すること」だそうです。同協会は、皇居における一般参賀の時などに「日の丸」の小旗を配っているそうです。資金源はどこなのかな?
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 本日の二枚です。
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by sabasaba13 | 2007-05-15 06:11 | 関東 | Comments(2)
Commented by さくぽん at 2007-05-15 16:05 x
こんにちは。
「国旗のある自由画コンクール」にはびっくりです。
どこで公募しているのでしょうか・・・。
でも、テレビで見かける「日の丸」の小旗を皆が持っている光景に恐れをなし、いったいどこで買って持っていくのか(皆それほどまでに国旗を振りたいのか)と思っていたので、疑問が多少解決しました。
恐ろしい光景に変わりはないですが。
Commented by sabasaba13 at 2007-05-15 20:55
 こんばんは。私も理解できないのですが、大きくて強い集団の一部だと体感するのは快感なのでしょうね。政治家・官僚・財界の権益のために、頤使されないことを心から祈ります。そのためには、国と国家の違いをつねに意識するべきだと思います。
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