三浦半島編(13):猿島(07.3)

 そして三笠のすぐそばにある桟橋に行き船に乗って、眼と鼻の距離にある猿島へと向かいます。東京湾唯一の自然島、周囲約1.6kmの小さな島です。海水浴や釣り、自然観察のスポットとして横須賀市民に親しまれているそうですが、実はここは要塞島なのです。まずは幕府が川越藩に命じて台場を設置させ、1884(明治17)年には明治政府によって要塞が築かれいくつもの砲台が設置されました。その後、こうした砲台は時代遅れとなり、敗戦後は開発からも取り残され往時の面影をよく残しているとのこと。また当時の煉瓦積みの遺構が良好な状態で残っており、しかも珍しいフランス積み(煉瓦の長い面と短い面を交互に並べる)であることにもそそられます。たしか現存しているフランス積み建築は、富岡製糸場と長崎の小菅修船場ソロバンドックとここくらいでしょう。貴重な物件です。
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 小さなフェリーに乗り込み、十五分ほどで到着。トイレ・コインロッカー・レストハウスも完備されています。さっそく散策を開始。明治中期につくられた発電所の右手の坂をのぼり、左にまわりこんでいきます。
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 するとそこは切通しになっており、両側面は煉瓦や石積みで造られた弾薬庫・兵舎が並んでいます。その先にトンネルがあるのですが後回しにして、まずは上で並行する道を歩くことにしましょう。
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 途中にあった展望台?見張り台?にのぼると、対岸の横須賀市外が一望できます。そしてその向こうには富士山を遠望できました。このあたりにいくつかの砲座が点在しています。「島内で不発弾などの危険物を発見した場合は、手を触れずに猿島の管理事務所へご連絡ください」という看板には、ちょっと腰が引けました。
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 つきあたりには日蓮が隠れていたという洞穴と、台場跡があります。
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 そしてUターンしていよいよお目当ての煉瓦づくりのトンネルへと入ります。このあたりは周囲から要塞を隠すためトンネルや切通しが複雑な形に配置され、それらが砲台・弾薬庫・司令部などをつなぐようになっています。一部の隙もなく丁寧に堅牢に積み上げられた煉瓦には圧倒されますね。大変な技量と労力が必要だったでしょう、職人の意地や魂さえ感じます。それにしても大変な資金・技術・労力をつぎこんで作ったこの要塞も結局は一度も使用されず、無用の長物になってしまったわけです。「学校や病院の一部となって支えたかった」と呻く煉瓦たちの嘆きが聞こえてくるようでした。
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 本日の三枚です。
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by sabasaba13 | 2007-05-16 06:11 | 関東 | Comments(0)
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