近未来超掌編小説「何も起こりはしなかった」

 安倍伍長が改憲への動きをフル・スロットルで加速させています。「憲法とは国家権力という怪物を縛る鎖」という卓抜な比喩にしたがえば、唸り声をあげ暴れながら鎖をふりほどこうとしている怪物の姿を彷彿とさせます。そのねらいは「グローバル企業の利益のために戦争をするから、俺のケツにキスしろ」というアメリカ政府の世界戦略に協力するため、憲法九条を変えようということでしょう。まっぴらごめんですね。それよりも、そうしたおぞましい世界戦略から手を切るために、日米安保条約の廃棄、米軍の撤退、そして新たな日米平和条約の締結が喫緊の課題だと思います。在日米軍基地の存在を認め、その軍事行動に協力することによるデメリットははかりしれません。攻撃を受けた国や民衆の反感と憎悪、その結果として予想される日本に対するテロ/レジスタンス、われわれが負担させられている莫大な費用、米兵の犯罪、騒音などの公害、事故、そして基地による環境汚染。一刻も早く自民党が目覚めるか(無理だろうなあ)、私たちが選挙によって安保条約廃棄を実行する政党を政権の座につけるべきだと思います。もしその結果、条約廃棄と米軍の撤退が実現したらどうなるでしょう。ちょっとシミュレートしてみました。
 2017年○月×日、△△党は日米安保条約の廃棄を決定。その動きを事前に察知した合衆国政府は、自衛官をジョージア州にある国防総省「アメリカ学校」に呼び寄せ、軍事訓練と拷問技術をひそかにほどこしはじめる。同時に秘密裏に大量の武器・弾薬が米軍から自衛隊に提供されていく。同年×月○日、自衛隊がクーデターを決行。△△党本部を急襲し、関係者を全員拘束。△△党党首は、手足の骨を折られ、唇と舌を切りとられ、両眼を抉りだされ、去勢手術を施された姿で発見される。一方、△△党支持者・安保廃棄を支持する知識人や運動家もつぎつぎととらえられ、拷問を受け、死体となって発見されるか、あるいは行方不明となっていった。こうした事態に抗議するデモや集会にも容赦なく攻撃が行われ、多くの民衆が犠牲者となった。数週間後、自衛隊幹部と自民党議員による軍事政権が成立、安保条約と在日米軍の維持を発表。憲法の改定および集団的自衛権の容認を強行し、より緊密に合州国の世界戦略に協力していくことを宣言した。そして世界はこの事態を傍観、つまり何も起こらなかったのだ。
 妄想? 世迷言? いやいや、ニカラグアやチリで実際に起こったことをなぞっただけです。こうして日本に置き換えてみると、合州国の世界戦略のおぞましさを実感できますね。そして事態を見て見ぬふりをする世界に対する絶望も… それにべったりとコミットしていこうとしている安倍伍長、あなたに想像力はありますか?
by sabasaba13 | 2007-06-02 08:05 | 鶏肋 | Comments(0)
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