と、ここでガイドブックを見ていた山ノ神が、ヴァポレット(水上バス)の終着にあるリド島に海水浴場があることを発見し、「もしかしたら映画『ベニスに死す』のロケ地じゃないかしら」と呟きました。神の啓示! 間違いなくルキノ・ヴィスコンティ監督による名画に登場した島でしょう、行かんでか。アカデミアの船着場からヴァポレットに乗り込み、リド島に到着。が、しかあし、ガイド・ブックには詳細な地図はなく、周辺の案内図も見当たりません。海沿いに左に行くか、右に行くか、まっすぐ内陸に進むか、選択肢は三つ。ここで山ノ神が提案。「細長ーい島なので内陸に向かえばすぐに向こう側の海岸にでるはず」 ようがす、ついていきましょ。大きな通りの両側にはショップやレストラン、高級ホテルが建ち並び、リゾート地であることを彷彿とさせます。
十数分歩くとやはり海岸に到着、歩道橋を渡って海に出ると、ああっ、見たことがある。「ベニスに死す」でしばしば登場した小さなビーチ・ハウスが遠望できました。間違いない、ここがロケ地です。当然の如く、脳裏にはマーラーの交響曲第五番第四楽章Adagiettoが潮騒のように鳴り響きます。(ほんとは第六番第三楽章Andante moderatoの方が好きなのですが)
鉛色ににぶく光る海を眺めていると、気分はアッシェンバッハ(ダーク・ボガード)です。タジオ(ビョルン・アンドレセン)はいませんでしたけれどね。彼の今の姿を見たい方は下記のサイトをどうぞ、見ない方がいいと思いますが…
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http://latifa.blog10.fc2.com/blog-entry-162.html
本編の足跡と本日の一枚です。