「ものづくりに生きる」

 「ものづくりに生きる」(小関智弘 岩波ジュニア新書318)読了。著者は大田区内の町工場で働くベテラン旋盤工です。“ビルの屋上から設計図を紙飛行機にして飛ばせば、三日後には製品になってもどってくる” 螺子一つから、最先端のハイテク部品までを作り出す町工場街と、そこに生きる職人たちを姿を生き生きと描いた好著です。モノをつくるということの奥深さと尊さをしみじみと感じます。そして仲間と励ましあい助け合いながら働くことの素晴らしさ。珠玉の言葉をいくつか紹介します。「機械にもニンベンをつけて仕事をするもんだ。」「人のためではない。まして金のためなんかではない。ただ自分が納得できる仕事をしたいだけである。」「つまらない仕事というものはない。仕事をつまらなくする人間がいるだけである。仕事が味気ないのではない。味気なく仕事をするから、楽しくないだけである。」「職人というのは、人の役に立つ仕事をする人間です。その人間の仕事が楽しくないはずがない。楽しんで働けなければ、職人じゃないですよ。」「"遊び"に理解のある職場ほど、働きやすい。たとえ結果としてうまくゆかなくても、その"遊び"に寛容な職場は人を育てる。職場のふところが深いということだろうか。分刻み、秒刻みに能率をあげることばかり考えているような職場は息がつまるし、遊びと怠けの区別もつかないような人のもとで働くのはたまらない。」
 納得のいく仕事がしたいという気持ちが大事だと痛感しました。他者を蹴落とそうとする競争原理からは、良い仕事は生まれないと思います。いやあ働く意欲がもりもりとわいてきました。そしてわれわれから働く機会を奪おうとする存在に対する怒りも。
by sabasaba13 | 2005-02-15 06:30 | | Comments(0)
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