別所温泉・稲荷山・姨捨編(6):別所温泉(07.7)

 奥に石造多宝塔があるということなので、さっそく行ってみました。少し石段を上るとそこは鬱蒼とした木立に囲まれ、苔むした小さな石塔が点在する別世界。濃密な水蒸気に濡れて光る幹や葉が、まるで呼吸をしているようです。負け惜しみですが、こんな小雨の日も悪くありません。奥には重要文化財の多宝塔が鎮座し、右手には上田繊維専門学校戦没学生の慰霊碑がありました。
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 相変わらず別所神社の方からお囃子の音が聞こえてきますが、突如「これが最後の神楽となります」というアナウンスが入りました。不覚! それはそうだ、祭りとは神様をヨイショするものであって神楽でご機嫌をとらなければ終わらない、12:00で終わるわけはなかった。あわてふためいた我々はすぐに別所神社に駆けつけましたが、(文字通り)後の祭り。幟を持った人や祭り装束の人たちが三々五々解散しているところでした。嗚呼惜しいことをした。しかし「今年の祭りも無事に終わった」という安堵感や虚脱感、覚めやらぬ高揚感をすこし味わえたので良しとしましょう。これは完全に負け惜しみですが。
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 隣の安楽寺に行く途中には、山本宣治とタカクラ・テルの石碑があります。山本宣治。生物学者、産児制限運動などを進めた社会運動家、政治家。労農党議員として治安維持法の改悪にただ一人猛然と反対し、右翼青年に暗殺される(1928)。実はその四日前、不況に苦しむ上田地方の小作人たちが、タカクラ・テルの縁戚にあたる山宣を招いて講演会を開いていたのですね。彼の死を悼んだ農民たちは、抗議の意をこめて翌年石碑をつくりますが、警察は取り壊しを命令。しかし密かに土中に埋め、三十八年間守りとおし1971年に再建されたものです。こういう人物を、歴史の授業で取り上げるべきですよね。ちなみに、知人U氏のご教示によると、彼を題材とした『武器なき戦い』(監督:山本薩夫)という映画があるそうです。見たい! タカクラ・テルの「人間を信じる心」という言葉をしかと胸に刻んで、安楽寺に行きましょう。
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 すぐ前の石屋には、数年前に来た時と同様、作業用ヘルメットをかぶったお地蔵さんがいらっしゃいました。何か謂れ…などないだろうなあ。でも不思議と心に残るお姿です。途中に蓮田がありましたが、開花はまだのようです。
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 本日の四枚です。
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by sabasaba13 | 2007-10-26 08:10 | 中部 | Comments(0)
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