伊豆松崎編(1):(04.1)

 蔵出しシリーズです。四年前の年末・年始ですが、箱根の山に籠って一週間ほど小原庄助的生活を送っておりました。しかしさすがに散歩の虫がウズウズと疼きだしてとまらない。山ノ神の快諾も得て、伊豆半島最南端の地、松崎へと行ってまいりました。ここは、鏝絵(こてえ)の創始者と言われる入江長八の出身地なのです。以前、九州の安心院(あじむ)という町を紹介した時にふれましたが、鏝絵とは、土蔵や戸袋、壁の漆喰の表面に鏝を使って薄肉状に盛り上げた浮き彫りを施し、彩色したものです。長八に関する美術館や、彼の作品で飾られた明治期の小学校建築もあると聴き、ぜひ訪れたいと思っていた次第です。
 まずは箱根登山鉄道で小田原へ。東海道線に乗り換えて三島まで行き、伊豆急行で修善寺まで南下します。ここで松崎行きの東海バスに乗って約二時間。かなり時間がかかりましたが、半島西海岸の土肥から海沿いに南下する道は、変化に富んだ海岸線を堪能できるので飽きませんでした。残念だったのは、雲と霞のために富嶽を見られなかったこと。そしてお昼頃に松崎着。まずはなまこ壁と鏝絵のみごとな明治期に作られた商家、中瀬邸を見学。昼食は「松翠」という店で、小生は地魚丼とミニ蕎麦を、山ノ神は蕎麦とミニ地魚丼を注文。美味美味。
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 目抜き通りをのんびりと歩いていると、そこはかとないオーラを感じる町ですね、ここは。コンビニエンス・ストアは一軒もなく、雛人形・塩・果物を元気に売っている「=つもと」という店があるかと思えば、つぶれて廃墟となった美容店「PARI」が不思議な存在感を主張しています。町の人々も誠実で親切そう。実は、中瀬邸の受付の方に「貸し自転車はありませんか」と尋ねたら、町中の自転車屋さんに電話をかけまくってくれたのです。結局見つからなかったけれど、こんな経験ははじめてですね。葬儀屋もまじめそうだし。
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 そして何といっても圧巻なのは、なまこ壁建築の多さ! 外壁に方形の平瓦を並べ、目地を漆喰でなまこ型に盛り上げたもので、防火・保温・保湿を目的としたものです。今では珍しくなったのですが、伊豆、特にここ松崎に、どういうわけか数多く残っています。保存状態の良いものだと、白壁と瓦の落ち着いた渋い色合いがよく溶け合って、なかなかの見物です。
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by sabasaba13 | 2008-02-15 06:36 | 中部 | Comments(0)
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