駿河・遠江編(8):由比(07.11)

 そして寺尾地区へ。小二階のある「ずし(厨子)二階」や格子窓のある民家が散見されます。「あかりの博物館」という古い民家を利用した博物館もありました。
c0051620_665057.jpg

 今午前9時37分、ここで少し時間をつぶせば、ちょうど桜えびが食べられる店の開店時間になるだろうとせこい計算をし、さっそく入館してみることにしました。中に入ると、古今の照明器具が所狭しと展示されていました。よくぞまあ収集したものだと感嘆しながら見ていると、「別府細工」という見慣れない鋳鉄製燭台が眼にとまりました。異国人らしい格好の小さな人形がちりばめられている大変精巧にして大胆なフォルム、首をかしげていると館長さんがいそいそと近づいてきたさっそく講義をしてくれました。江戸時代18世紀半ばから19世紀初期の美濃を代表する金属工芸品で、美濃国本巣郡別府村の広瀬清八・茂十郎という親子が作者だそうです。この一連の作品は、美濃を通過した朝鮮通信使一行を見て興味を持った広瀬親子がそれをモチーフにしたそうです。へえー、まだまだ知らないことがいっぱいあるんだなあ。すると館長さんはたった一人の来館者を相手に、次から次へと展示品を解説してくれました。自動的に油を補給する江戸時代のランプ「無尽燈」は、久留米出身の細工師・田中久重(通称からくり儀右衛門)の発明によるものだそうです。そういえば泉鏡花に同名の小説があったような気がするなあ。火打ち金には西の明珍・東の吉井と呼ばれた二つの名品があるなどなど、トリビアにして面白い知識をいかにも楽しげに次から次へと授けてくれます。さらには折りたたみ式の燭台や鎖を巧みに使って上下させ光量を調節できる明かりなどを、実演をまじえながら見せてくれ、あらためて江戸時代の匠の技を思い知らされました。館長さんによると、時々中国からの観光客が来るそうですが、日本人よりも熱心にこうした仕掛けや細工物を見学するそうです。物を作る楽しみ・喜びがまだ中国では息づいているのかもしれません。マネー・ゲームに狂奔している場合ではありませんよ、みなさん。あっという間に小一時間が過ぎてしまいました。丁重にお礼を言ったところ、「静岡県と朝鮮通信使」というパンフレットをくれました。これによると、静岡市清水区の清見寺には、求めに応じて書かれた通信使揮毫の扁額がたくさん残されているとのことです。この時期の日朝関係は、好奇の目をもちながらも互いを異文化として尊重しあったわりと良好なものであったという印象を受けますね。それを木っ端微塵に打ち砕いたのが明治政府の外交だったのでしょう。

 本日の一枚です。
c0051620_672045.jpg

by sabasaba13 | 2008-05-15 06:08 | 中部 | Comments(0)
<< 駿河・遠江編(9):由比(07... 駿河・遠江編(7):由比(07... >>