「競争やめたら学力世界一」に関する昨日の書評でもふれた、OECD(経済協力開発機構)の「生徒の学習到達度調査」(PISA2003)の実物をご存じない方も多いのではないのでしょうか。学力不足学力不足学力不足学力不…とあわてふためく前に「学力とは何か」を考えるための格好の一助となる設問です。データの読み取り方と真偽の判断、文章の読解力、多様な意見の許容、そして自分の考えで当否を決める能力、効果的なコミュニケーションの方法、自分の意見をしっかりと述べる力などなど、OECD(あるいはEU)がめざすところの“学力”の一端が垣間見えてきます。特に興味深いのは上の設問ですね。これはメディア・リテラシーとだまされない力を重視していることをうかがわせます。
教育問題について本気で取り組んでもらうためにも、国会議員諸氏にぜひやっていただきたいものです。 設問 盗難事件 あるTVレポーターがこのグラフを示して、「1999年は1998年に比べて、盗難事件が激増しています」と言いました。 設問 落書き 学校の壁の落書きに頭に来ています。壁から落書きを消して塗り直すのは、今度が四度目だからです。創造力という点では見上げたものだけれど、社会に余分な損失を負担させないで、自分を表現する方法を探すべきです。 禁じられている場所に落書きするという、若い人たちの評価を落とすようなことを、なぜするのでしょう。プロの芸術家は、通りに絵をつるしたりなんかしないで、正式な場所に展示して、金銭的援助を求め、名声を獲得するのではないでしょうか。 私の考えでは、建物やフェンス、公園のベンチは、それ自体がすでに芸術作品です。落書きでそうした建築物を台なしにするというのは、ほんとに悲しいことです。それだけではなくて、落書きという手段は、オゾン層を破壊します。そうした「芸術作品」は、そのたびに消されてしまうのに、この犯罪的な芸術家たちはなぜ落書きをして困らせるのか、本当に私は理解できません。(ヘルガ) 十人十色。人の好みなんてさまざまです。世の中はコミュニケーションと広告であふれています。企業のロゴ、お店の看板、通りに面した大きくて目ざわりなポスター。こういうのは許されるでしょうか。そう、大抵は許されます。では、落書きは許されますか。許せるという人もいれば、許せないという人もいます。 落書きのための代金はだれが払うのでしょう。だれが最後に広告の代金を払うのでしょう。その通り、消費者です。 看板を立てた人は、あなたに許可を求めましたか。求めていません。それでは、落書きをする人は許可を求めなければいけませんか。これは単に、コミュニケーションの問題ではないでしょうか。あなた自身の名前も、非行少年グループの名前も、通りで見かける大きな製作物も、一種のコミュニケーションではないかしら。 数年前に店で見かけた、しま模様やチェックの柄の洋服はどうでしょう。それにスキーウェアも。そうした洋服の模様や色は、花模様が描かれたコンクリートの壁をそっくりそのまま真似たものです。そうした模様や色は受け入れられ、高く評価されているのに、それと同じスタイルの落書きが不愉快とみなされているなんて、笑ってしまいます。 芸術多難の時代です。(ソフィア) 前ページの二通の手紙は、落書きについての手紙で、インターネットから送られてきたものです。落書きとは、壁など所かまわずに善かれる違法な絵や文章です。この手紙を読んで、問1~4に答えてください。 問1 この二つの手紙のそれぞれに共通する目的は、次のうちどれですか。 A 落書きとは何かを説明する。 B 落書きについて意見を述べる。 C 落書きの人気を説明する。 D 落書きを取り除くにどれほどお金がかかるかを人びとに語る。 問2 ソフィアが広告を引き合いに出している理由は何ですか。 問3 あなたは、この二通の手紙のどちらに賛成しますか。片方あるいは両方の手紙の内容にふれながら、自分なりの言葉を使ってあなたの答えを説明してください。 間4 手紙に何が書かれているか、内容について考えてみましょう。 手紙がどのような書き方で書かれているか、スタイルについて考えてみましょう。 どちらの手紙に賛成するかは別として、あなたの意見では、どちらの手紙がよい手紙だと思いますか。片方あるいは両方の手紙の書き方にふれながら、あなたの答えを説明してください。
by sabasaba13
| 2008-07-07 06:17
| 鶏肋
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Comments(2)
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Uchi yasu
at 2016-09-19 02:27
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上は、グラフの上部だけ拡大して言われても…って中卒でニートの自分(特別支援学級で普通の中学教育は受けられていなかった。高校に行けなかった。)は感じますが、この世間ではそういう回答は求めてくれないような気がして不安になると思います。
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sabasaba13 at 2016-09-20 22:39
こんばんは、Uchi yasuさん。この二つの問題をあらためて見返して、OECDが求める学力とは、「だまれない力」「嘘を見抜く力」「自分の頭で考える力」だと思いました。現今の日本の惨状は、「嘘を見抜けず、自分の頭で考えずに権威に頼る」という私たちの姿勢が原因ではないでしょうか。ほんとうの学力を身につけたいものだと、つくづく思います。
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自己紹介
東京在住。旅行と本と音楽とテニスと古い学校と灯台と近代化遺産と棚田と鯖と猫と火の見櫓と巨木を愛す。俳号は邪想庵。
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