駿河編(3):起雲閣(07.12)

 そして起雲閣に到着です。1918(大正7)年、海運王・内田信也の別邸としてつくられ、鉄道王・根津嘉一郎の手に渡って洋館・庭園が整備され、敗戦後は桜井兵五郎によって旅館「起雲閣」として開業。山本有三、志賀直哉、谷崎潤一郎、太宰治、武田泰淳らが好み、ここで執筆に専念した文人もいたそうです。麒麟の間の壁面を埋めつくす群青色にはぶっとびましたが、解説によると加賀の青漆喰という伝統的な技法だということです。
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 竹を組み合わせた障子の桟や、凝った細工の下駄箱など、細部にまで施主の嗜好が行き届いています。口の字型に建物が配置されているので、どの部屋からも中心にあるお庭を眺められるようになっています。
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 洋間も贅をこらした造りですが、装飾過多で悪趣味すれすれかな。そして回遊式池泉庭園を散策。一見の価値はありますが、もう一度来る気にはちょとなれません。どうも施主の一徹な思いが伝わってきませんので。
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 さて駅へと戻りましょう。途中、タイル壁で囲まれた1m四方ほどの地の周囲にペットボトルを並べ置き、「おねがい この場所は清めてあります 犬の糞等はさせないでください」という貼紙がある摩訶不思議なスポットを発見。これは何なのだろう??? 地縛霊でもいるのでしょうか。この手の物件があといくつかあれば、都市伝説ミステリースポットとして喧伝できるのですが。きゅるるるる ひだる神がとりつきそうになったので、あわてて喫茶店に飛び込みオムライスを所望。デミグラス・ソースがたっぷりかかった逸品をがつがつと食べ終わり珈琲を飲んでいると、後方からの着信メロディ「スカボロー・フェア」が聴こえてきました。おっこれはおそらく同世代の御仁だなと思い、思わず耳をそばだてていると、どうやら奥さんと数分後にここで落ち合うようです。携帯電話を切ると、すぐに氏は日本酒を注文。店主が「冷やですか燗ですか」と訊ねると、「どっちでもいいから女房が来る前に早く出してくれ!」 うーん、人生だなや。さあこの後どんな修羅場が待ち構えているのか楽しみだったのですが、残念ながら列車の発車時刻が迫っているため店を出てしまいました。こうしたドラマが見られるのも、旅の楽しみの一つです。ん? 電柱に「さい帯血を保存しよう」という広告がありました。さいたいけつ??? 今、インターネットで調べてみたところ、さい帯血(臍帯血)とは、胎児と母体を繋ぐ胎児側の組織であるへその緒(臍帯)の中に含まれる血液で、造血幹細胞が多量に含まれていることが知られているそうです。よって白血病や再生不良性貧血などの難治性血液疾患の根本的治療のひとつである造血幹細胞移植において、幹細胞の供給源として利用されているとのこと。なるほど、勉強になるなあ。これも旅の楽しみの一つですね。
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 さて駅前の平和通り商店街を歩いていると、ありました! 貫一・お宮の顔はめ看板です。よく見ると貫一の足の部分にもはめられるようになっていました。これはマニア垂涎の的、レアな物件です。これから顔はめ看板マニアが急増するのではないかという、何の根拠も無い漠然とした予感があります。これを利用しない手はない。提言その7.顔はめを街中に設置する。
 駅には春夏秋冬一年中行われる花火大会のポスター。観光客を招き寄せるための営業努力の一環でしょう。それはそれでよいとして、すぐにできる方策がありますよ。提言8.わかりやすい配布用観光地図を作成する。
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 なお廃業したホテルなどの廃墟物件がたくさんあるという情報も入手していたのですが、見かけませんでした。廃墟マニアは確実に存在しますので、もし廃墟が数多あるのでしたらこれを活用してはいかが。日本経済の栄枯盛衰と、人の世の諸行無常を熱海で体感しよう! 提言9.廃墟の保存・展示。
 とまあ小言幸兵衛のようにぐちゃぐちゃと言いたいことを言いましたが、このまま自民党のように朽ち果てるにはあまりにも惜しい温泉街です。これも熱海を愛するがゆえと御海容ください。

 本日の一枚は、起雲閣です。
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by sabasaba13 | 2008-07-11 06:21 | 中部 | Comments(0)
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