瀬戸内編(14):周防大島(08.2)

 朝、目が覚めると午前六時、いやはや、昨日8km歩いた疲れはとれないし、♪もう若ーくないさ♪と言い訳する相手もいないし、もう歳だなと嘆きながらも、気持ちだけは若者。朝食前に散歩をすることにしました。窓から海を見ると、肉眼でも潮の流れを確認できます。ここは大畠瀬戸、日本三大潮流の一つだそうです。ちなみにあと二つは伊良湖水道(三重県鳥羽市-愛知県田原市)と早崎瀬戸(長崎県口之津町)。宿のすぐ隣にある大島大橋を歩いていると、ちょうど朝日が島影からぬおっと出てくるところでした。こいつは春から縁起がいいわい、刻々と色を変えていく美しい海や空を堪能。朝食は宿で和食バイキングをいただきました。会場は楽しげな団体客で大賑わい、でもできれば朝の海を眺めながら落ち着いた雰囲気で食事をしたいものです。余計なお世話ですが、個人および家族旅行を視野に入れないと、旅館業もそろそろやっていけなくなるのではないかな。
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 チェック・アウトをしてタクシーの配車を依頼、その間、海を眺めながら珈琲をいただきましょう。しばらくしてやってきたタクシーの運転手、互いに見合す顔と顔、なんと昨日お世話になった方でした。予定通り、まずは久賀の石風呂へ向かってもらいました。しばらく待っていてもらって、石風呂を拝見。これは西日本最古のもので、東大寺を再建するための木材を求めて重源が周防の国司として赴任した時、兵乱と飢饉に苦しむ庶民のため及び布教のために築造したという伝承があるそうです。花崗岩を積み上げ粘土で固めた石室の中に入り、中で松葉を炊き、濡れたむしろをかぶりながら汗を流す、つまり蒸風呂・サウナですね。昭和のはじめ頃まで、実際に使用されていたそうです。瀬戸内にはこうした石風呂という習慣があるのですが、中でもこれは規模も大きく代表的な遺構とのこと。
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 なお久賀は周防大島で一番大きな町です。宮本常一氏はこんな笑い話を紹介されています。(「周防の大島」 『旅と伝説』より) 「とと、とと!」「なんど?」「久賀はたいがい(大変)大けえのう」「ウン」「日本とどちらが大けかろうか?」「馬鹿! 日本はこの倍ほどあらァ!」

 本日の一枚です。
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 追記。MSNトラベルによると、竹原の近くに現役の石風呂があるそうです。以下、引用します。
 温泉の少ないこのエリアでは、昔から「石風呂」なるお風呂があった。天然の洞窟を利用したサウナだが、風呂の原型の一つで、弘法大師が発案したとも伝えられている。広島県竹原市忠海にある岩乃屋は今では数少ない石風呂入浴ができる場所。海沿いの道を歩き、「戦時中に軍が掘った」という洞窟へ。
 穴は2つ。熱い穴と、普通の穴とがあるが、普通の穴でもかなりの熱さ。床にはアマモという海草が敷き詰められており、数分間、寝転がるだけで驚くように汗が出てくる。裸電球一つだけの穴の中は薄暗く、湿気が充満。湿気の中に潮の匂い。その匂いが胸をすかっと洗ってくれるようで、喘息持ちの身には何とも爽快。穴から出た後、海風が肌をなでてくれるのも最高の気分。オシャレな感じはないけれど、これこそ日本のタラソテラピー! 健康と美容にうってつけだ。

岩乃屋(いわのや)
TEL 0846-26-0719
[住所] 広島県竹原市忠海床浦1-12-30
[交通] JR呉線忠海駅から徒歩約15分
*温泉ではありません

by sabasaba13 | 2008-09-19 06:08 | 山陽 | Comments(0)
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