2008年 01月 28日 ( 1 )

「サブプライム問題とは何か」

 「サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉」(春山昇華 宝島社新書254)読了。「地道に働け」という家訓のせいなのか、生まれつきの性格ゆえか、はたまた山ノ神の呪縛によるものか、賭け事は一切していません。競馬・競輪・ボートレースは未経験だし、麻雀・パチンコはここ二十数年しておりません。別に自慢ではないですけれどね(自慢かな?) よって株や投資にも全く興味がありません。しかし巷で騒がれているサブプライム問題については胡散臭さとともに、嫌な胸騒ぎを覚えます。枯れ尾花なのかルシファーなのか、その正体を知っておきたいものだと思っていたら本書に出会えました。
 著者は金融機関に勤務するとともに、インターネットを通して投資知識の普及をめざされている方だそうで、わかりやすい概念図を多用した語り口には好感をもてました。で、おぼろげながら見えてきたのは、要するにこれは浮かれ・悪乗り・非常識をともなった「バブル」なのですね。「サブプライム」とは、優良顧客(プライム)ではない、所得水準が低くローンの延滞履歴があるなどサブ層へのローンのことです。住宅+土地の価格がいつまでも上昇し続けるというという思い込みの中で、「多少馬鹿な価格で買っても、後に控えた人がもっと馬鹿な価格で買ってくれるから、逃げられるので大丈夫ですよ」と巧みにさそいかける金融機関やブローカーの甘言に乗ったサブ層が、転売するために借りまくったローンが、この問題の本質のようです。そしてそれらの住宅ローンが、パッケージ化された金融商品として、お化粧を施され、他のローン債権等と組み合わされて世界中の投資家に売却されている。おまけに格付け機関がこれに「トリプルA」という評価を乱発したので、文字通り飛ぶように売れたというわけです。そして当然のことですが、住宅価格が頭打ちとなり、下落が始まった…
 後はどこかの国で起きたことを想起してください。ただ違うのは、世界中の金融機関や投資家がこの不良債権を抱えてしまったということですね。へたすれば1929年の再現です。そして著者は、これを単なるバブルとして切り捨てるのではなく、第二次大戦後の世界経済の構造的問題として位置づけています。以下、引用です。
 アメリカ以外の好景気は、常にアメリカの貿易赤字(=輸入超過、つまり日欧の輸出ブーム)のおかげであった。戦後、アメリカは市場を開放して、外国の貿易品を受け入れる自由貿易体制を採用していた。その背景には、戦後の国際社会で、アメリカが自由主義陣営の覇権を維持して、社会主義大国ソ連と対抗する必要があったからだ。覇権維持のために、アメリカは国内の消費者や企業が欲しがるものを、日本や欧州j、アジアといった子分に作らせて物を買った。一方では、防衛や金融の仕組みなどを押さえ、親分(宗主国)として振舞うjという主従関係を築いたのだ。
 要するにどこかの大国がひたすら海外から物を買い続けてくれないと成り立たないのが、世界経済の現状であるという認識です。しかしアメリカの「物を買い続ける力(バイイング・パワー)」に陰りが見え始めてきた。資源価格の高騰によって、中南米やロシアが台頭し、中東諸国の反米的な動きも加速している。そしてこのサブプライム問題によって、アメリカ帝国の終焉も近いのではないか、というのが著者の予測です。そして大消費市場をもつ中国・インドがバイイング・パワーを振るう大国として、アメリカにとって代わり世界経済を牽引する日が近いのではないか。
 説得力はあるのですが、気が滅入ってしまう結論ですね。世界経済が、楽して儲けようという巨大なカジノとなり、そして物を大量に買い続けてくれる大国に依存しながら自転車操業を続ける。市場にとって価値のない(儲けの対象とならない)国や地域や人間は情け容赦なく無視して切り捨てる。やれやれ、おぞましくいかがわしいこの現状を追認するしか選択肢はないのでしょうか。(著者はないと思っておられるようですが) 人類の英知を結集して、大量生産・大量消費・マネーゲームにかわる新しい経済システムを早急に構築しないともう地球は…

 ラージガートに刻まれたガンディーの碑文が脳裡をよぎります。「七つの社会的罪 1.理念なき政治 2.労働なき富 3.良心なき快楽 4.人格なき学識 5.道徳なき商業 6.人間性なき科学 7.献身なき信仰」
by sabasaba13 | 2008-01-28 06:08 | | Comments(0)