2008年 02月 26日 ( 1 )

肥前編(5):軍艦島(07.9)

 船が近づくにつれて、その威容と異形が眼前に迫ってきました。荒波をかぶる切り立った岸壁、廃墟と化した高層ビル群。最盛期の人口は5300人だそうですが、この孤島で暮らし働くとはどういうことなのか、想像を絶します。ここで掘り出された石炭が、日本の産業化と軍事化を支えたのかと思うと、近代世界という荒海にのりだした日本帝国の姿がオーバーラップしました。うねる波を切って船は島を一周。
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 港に戻り、バス停まで車で送ってもらいました。船頭さんの話によると、来年から上陸できるようになり、今遊歩道などの整備を進めているそうです。すわっ、早まったか。なおインターネットで調べたところ、無断で上陸したという記事がけっこうあるのですね。その一つに、島の小学校に下記のようなメッセージが刻まれていたという報告がありました。
たとえ
荒れ果てようとも
朽ち果てようとも
世間から
棄てられた島と言われようとも
ここは私たちの大切な故郷

もとの岩礁の姿に戻るまで
思いはこの島に残りつづけます

だから
荒らさないでください
汚さないでください
盗らないでください

この願いを聴いて下されば
私たちは感謝すると共に
貴方の無事をお祈り致します

端島人一同
 返す言葉もありません。バス停のとなりには、小規模ですが往時の写真が展示してある軍艦島資料館がありました。強制収容所のような環境であったのだろうという先入観をもっていたのですが、写真や解説を見る限りそうではないようです。充実した娯楽施設や電化製品の導入、海底水道の整備など、生産性を最大限にあげるためにかなりの企業努力がなされたようです。そしてモノクロ写真からほとばしるのは、住民の連帯です。危険な坑内作業、狭く隔絶された住環境、それを通して互いに助け合い励まし合いながら働き戦う意識が強く豊かに育まれたのでしょう。猖獗をきわめる市場原理主義(ex.労働者の使い捨て)を信奉する人々が、もっとも恐れるのがこの労働者の連帯と団結だと思います。スーザン・ジョージの「自分が一番したいことはするな。敵がもっとも嫌がることをせよ」という言葉を想起しますが、でもどうやって? それについて本気で考えることが、私たちの喫緊の課題でしょう。
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 本日の一枚です。
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by sabasaba13 | 2008-02-26 06:16 | 九州 | Comments(0)