2010年 02月 08日 ( 1 )

土佐・阿波編(35):徳島(09.3)

 さて空港行きバスの時間まで、もうすこしあるので近くにある瑞巌寺に寄りましょう。眉山の麓に凛として静かに佇む古刹です。1582(天正10)年、武田勝頼残党を追って恵林寺を包囲した織田信長による投降勧告を拒否して「心頭滅却すれば火も涼し」と火定に入った快川国師、その弟子が難を逃れ、縁を頼って阿波に渡り蜂須賀氏の帰依するところとなって開山となったそうです。見どころは、江戸初期の桃山式池泉鑑賞式庭園。門前で七分咲きの桜を愛で、庫裏で入園料を払い、木戸を押して中に入ると、眉山の自然をそのまま利用した庭園が出迎えてくれました。生い茂る老樹、春の訪れを賀するように芽吹く草木、静謐に水を湛える池に岩を伝って流れ落ちる湧水、阿波の青石でつくられた苔むす石橋、市街地の一角にこんな山紫水明の地があろうとは。「石走る垂水の上の早蕨の萌え出づる春になりにけるかも」という志貴皇子の歌が脳裡に浮かんできます。しばらく立ちすくみ、命の匂いに包まれていると、"人生即散歩"という悟りが…浮かんではきませんでした。まだまだ若輩者です。
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 さ、それでは駅前に戻りましょう。新町川にかかる新町橋のたもとに川端康成書による野上彰顕詩碑がありました。寡聞にしてこの方のことは知りません。後学のため、記しておきます。
前奏曲抄
虻は飛ぶ 金色に ああ アカシアの並木には 朝の神神の 化粧がこぼれてゐる
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 橋の歩道に奇妙に歪んだ絵が描かれてあったので、なんだこりゃと立ち止まると、鏡のような円柱形の欄干にその絵が映っています。鞘絵ですね、こりゃ。阿波おどりの男踊り・女踊りが描かれていました。なかなか洒落たことをしてくれます。
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 そして駅前に到着、コインロッカーから荷物をひっぱりだし、徳島空港行きのバスに乗り込みました。雄渾に流れる吉野川に別れを告げ、二十数分で空港に到着。ターミナルの前にはやはり阿波おどりのオブジェがありました。チェックインをして、最後のお勤めを果しましょう。実はイサム・ノグチの彫刻がこの空港に飾られているという情報を入手しました。さっそく付近と内部を徘徊するも見当たりません。JAL係員の女性に訊ねたところ、「いさむのぐち???」と埒が明きません。しかし彼女は親切でした。少々お待ち下さいと言って事務所にかけこみいろいろと訊いたり調べたりしたようで、インターネットからプリントアウトした資料を持ってきて「高松空港の間違いではありませんか」とおっしゃいます。「いや間違いありません」と断言しましたが、しょうがない、ないものはない、丁重にお礼を言って分かれました。なお今確認したところ、「タイム・アンド・スペース」という作品があるのは確かに高松空港でした。御免なさい! 電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも、みんな私が悪いんです。売店では、しっかりちゃっかりお遍路グッズを販売中。
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 そして空港レストランで四国最後の食事として、たらいうどんと鳴門わかめと阿波ちくわをいただきました。
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 うん、また四国には来たいな。たぶん霊場八十八ヵ所をまわることはないでしょうが、自分なりの喜びと驚きと呆気と「至高の生」を求めるお遍路さんとしてね。さて次のプチ行雲流水はどこに行こうかな。

 本日の三枚です。参考のために、日本国内にあるイサム・ノグチ作品の一覧を掲載します。
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by sabasaba13 | 2010-02-08 06:11 | 四国 | Comments(0)