2017年 05月 21日 ( 1 )

山城博治さん

 安倍でんでん内閣が、なりふり構わずに「共謀罪」成立へと暴走しています。ぶおんぶおん。もし仮にこれが成立してしまったら、何が起きるのか。「悪いテロリストを事前に捕まえるのでみんな安心、はいほー」などという牧歌的な話ではないでしょう。その起り得る事態を、リアリティをもって教えてくれる秀逸なインタビューを読むことができたので紹介します。
 それは、硬骨のフォトジャーナリズム月刊誌『DAYS JAPAN』(17.6)に掲載された、山城博治氏へのロングインタビューです。映画『標的の島』にもたびたび登場した、辺野古や高江での米軍基地反対運動の中心となって尽力されてきた方です。人懐っこい笑顔、機動隊員との情に溢れたやりとり、歌と踊りと笑いを忘れない懐の深い人となり、しかし肝心な場面では一歩も引かぬ不屈の精神、心にいたく残った方でした。
 同誌から、氏のプロフィールを紹介します。
山城博治 1952年沖縄県うるま市生まれ。法政大学社会学部卒。1982年に沖縄県庁に入庁。2004年から沖縄平和運動センター事務局長。辺野古新基地建設、東村高江のヘリパッド建設反対運動を、多くの平和・市民団体と連携しながらおこなう。昨年10月、米軍基地建設反対運動に絡んで逮捕、5か月間拘留された。現在公判中。
 その山城博治氏が、生い立ちや平和運動に関わる経緯、辺野古新基地建設の反対運動の経過、逮捕にいたる状況、そして共謀罪の真の狙いなどを語った貴重な証言です。後半部分を引用しますので、ぜひ読んでいただきたいと思います。
 自分はリーダーではなく、世話人だと話す。

(山城) 私は世話人という言葉が好きです。ただ現場をまとめたい。というのは、ああいう(権力と市民とが時にぶつかり合う)現場では、慣れた人が権力との間に立って、交通整理をし、引き際を見極める必要があるんです。

 辺野古新基地建設が強行的に着工されたのは2014年。米軍キャンプシュワブのゲート前や大浦湾の海上に機動隊や海上保安庁の職員が配備された。ずっと続けてきたことがある。

(山城) 実は、14年の7月に工事が始まったときから、毎朝、機動隊の責任者に伝えてきたんです。私たちはここに、けが人や逮捕者を出したりするためにいるんじゃないよ。止むに止まれぬ思いを持ってここに駆けつけているんです。君たち機動隊が介入する必要が出るような運動は作らないから、仲間に対して無茶しないでください、頼むねって。反対の声を挙げることは市民としての権利です。そこは大事にしてくださいって。

 当時、機動隊も山城さんのそんな思いに理解を示していた。山城さんを、機動隊と住民の仲介役として頼ってくる場面は少なくなかった。
事態が変わったのは15年の11月、東京警視庁の機動隊が150人体制で送られて来てからだという。

(山城) 様変わりしてしまった。暴力的で、沖縄の機動隊も激しくなった。彼らも東京警視庁に見られているからね。昨日まではお互いに現場のルールで調整し合ってやってきたのに、力で押しまくって来るようになった。工事車両を入れまいと、(米軍キャンプシュワブの)ゲート前に座り込んで抗議する住民を、力任せに排除し始めた。

 何とかしないといけない。毎日やられっぱなしだった。日を決めて工事車両を確実に止めようと、15年11月から水曜日を一斉集中行動日としてセットした。日頃の数倍の数で大集結した人々。朝、工事車両が入るゲート前にみんなで座り込み、車両を止める。最初集まったのは500人だった。それでも機動隊に抱えられ、排除された。800人になって、ついに車両の出入りを止めた。機動隊は手が出せなかった。3週目には1200人が集まった。大成功だった。

(山城) ぼくはカチャーシー踊ったりしてさ、やったー! みんなありがとう!って。

 16年1月からは木曜行動も始めた。人が集まり、完全に工事が止まった。

(山城) そうしたら金曜日、工事の遅れを取り戻そうと、それまで早朝1回だけだった工事車両の侵入が午前も午後もひっきりなしになった。座り込んでも機動隊に抜かれる(排除される)。また座り込んでもまた抜かれる。悲鳴があがった。機動隊は、突起が付いた軍手をはめて、腕をすごい力で掴んでくる。だから痣ができる。心臓が悪い人は卒倒して、ついに救急車で運ばれた。

 非暴力で抵抗する市民に権力が全力で襲いかかる。限界だった。

(山城) あまりの暴力に耐えかねて、誰かが言い出したでもなく、自然発生的にブロックを積み出した。

 みなが椅子代わりに使っていたブロックをゲート前に積んだ。それが威力業務妨害とされ、後の逮捕につながる。
16年10月17日、沖縄県警は、山城さんを運動中の威力業務妨害、公務執行妨害などの容疑で逮捕した。その後逮捕者が相次ぎ、山城さんの152日間の長期勾留が始まった。

(山城) 私は、一部の事実については認めています。だけどそうせざるを得なかった背景を、裁判官は知るべきだと思う。だから検察の事情聴取には応じませんでした。私の容疑については法廷で述べさせてもらいますと言ってね。

 検察の取り調べでは、「共犯」「共謀」という言葉が頻繁に使われた。

(山城) 共犯者は誰だ、カメラに映っているこの人物は誰だ、名前は? どこから来た人物だ?と。あぁ彼らは、私に、"共謀"したということでたくさんの逮捕者を出すつもりだなと思った。運動をしてきた人がみんな犯罪者にされてしまう。だから黙秘した。

 安倍政権が成立を目指す共謀罪では、277の犯罪を対象に、「計画したり」「準備行為をしたり」した段階で処罰できるようになる。

(山城) 警察や検察の主張では、常時私と行動を共にしていた者のみならず、たまたまゲート前の座り込み行動に参加して私の話を聞き、拍手を送った者まで、"共謀"したとされています。

 安倍政権の強行に、恐怖を覚えるという。

(山城) 日本全体が、戦前のような時代に逆戻りしようとしているように思います。政府は北朝鮮のミサイルや中国の脅威を煽りながら、戦争国家にするための法整備や社会環境の整備を図ろうとしている。いま安倍内閣が一生懸命作ろうとしている国家社会の有りようというのは、政府が非常事態宣言を発すれば、全国民が不平ひとつ言わず、政府の方針に従うべきだという社会です。だから共謀罪が必要になる。それは沖縄の人たちが戦前に見てきた社会で、私たちが渇望してきた平和で民主的な社会とは真っ向から相反する社会です。

 共謀罪が成立すれば、真っ先に適用されるのは沖縄の米軍基地建設反対の現場だろう、と話す。
 4月29日、米軍キャンプシュワブゲート前では、辺野古新基地建設中止と共謀罪廃案を訴える大規模な県民集会が開かれた。

(山城) 共謀罪では、こういう集会に参加したみんなが逮捕されてしまうことになる。組織的威力業務妨害の共謀罪でね。そして「米軍基地反対」とさえ言えなくなる。
 うーむ、やはり共謀罪の狙いは、政府に抗う動きを潰すため、そして「逮捕」という威圧を加えることによって、そうした動きを未然に防ぐためだと言ってよさそうです。特定秘密保護法、集団的自衛権の容認、そしてこの共謀罪。私たち主権者を屈従させながら、米軍の世界戦略の片棒を担ぐという"柔らかな全体主義・軍国主義"を徐々に浸透させようとする安倍でんでん政権の意図が見え隠れします。
 これに対して、無関心を決め込む、政府を支持する、知ろうとしないといった選択肢もあり得ますが、私はやはり抗いたい。でもどうやって? 山城氏の言葉がそのヒントを与えてくれます。
 自民党がやりたい放題やっているのは、やっていいだけの議席を与えてしまっているからでしょう? 安倍首相は、全ての権限を委譲されたという思いがある。だから憲法まで自分の考えで変えようとする。その強権政治を変えていかないとならん。

 政府は工事が始まったことを最大に宣伝する。石が大きなクレーン車で海に降ろされる画が流れてくる。工事が始まったことは事実だけど、その裏には、もうどんな抵抗をしても工事は進むんです、沖縄県民の抵抗もここまでですというメッセージが入ってる。

 工事は10年かかる。あそこの海底は軟弱だから、政府はいま工事の大幅な修正、変更をしようとしている。そのためには変更申請を県に出す必要があるのですが、その可否は(辺野古新基地反対を訴えている)翁長知事が判断する。あるいは、埋め立てのためには辺野古の山を流れる美謝川の水路を変更する必要がありますが、それを判断するのは水利権の管理者である稲嶺名護市長の権限だ。だから最終的には翁長知事や稲嶺市長の首をすげかえないと、できないんです。護岸工事はできない。

 今の強引な安倍政権はこれから先10年も20年も続きません。必ず変わる時が来るから、心折れないで、がんばろうと。そういう話を現場に行ってしたい。いつも言うでしょう? ゆるくていいんだ、しなやかにがんばるんだって。そして最後の1パーセントに望みをかけてパッといったらいい。勇気を持て。20年がんばってきたんだから、きょうあすで決まる話じゃない。必ず、必ず変わる時は来るって。伝えたいのは、そのこと。

 私がずっと言ってきたのは、運動はゆるくていいと。しなやかで、したたかで、そして時に毅然として。毅然とするのは最後の1パーセントでいい。最後でいい。

 めげない明るさがある限り、希望を持ち続けられる。だから小さなことでもみんなで喜んで歌う。辺野古や高江は、英雄たちが集まっている場所じゃない。当たり前の暮らしの中で、基地はいやよね、戦争はいやよねという人たちが集まる場所。あそこで成熟する民主主義が生まれる。そのことに安倍内閣は恐怖するんじゃないかな。

 勝つためには諦めないこと。

by sabasaba13 | 2017-05-21 06:13 | 鶏肋 | Comments(0)