2017年 09月 19日 ( 1 )

関東大震災と虐殺 11

 閑話休題。午後2時頃に警視庁も、東京地域の警戒救護のため軍隊に出動を要請しました。

 午後4時頃には、猛火をともなった旋風が本所被服廠に逃げ込んだ避難民を襲い三万八千人が焼死しています。また東京市中の米倉庫や、深川の陸軍糧秣倉庫が焼けたという報告に、水野は強い関心をもっていますが、恐らく米騒動の記憶が脳裡をよぎったのでしょう。水野と赤池は、同日の夜、災害地視察に出かけますが、町の惨状を前にして赤池は次のような感想を残しています。(①p.33~4)
 蓋し当時余の最も痛心措く能わざりしは飢餓より生ずる悲鳴であり失望より生ずる直接行動であった。此非常特別の事実に際しては尋常の縄墨を以て事を律することは出来ない。…万難を排しても此大衆に食糧を与えねばならぬ。水を飲ましめねばならぬ。安心せしむ事か絶望せしむるかは一に臨機の処置如何に懸っている。危急存亡の機とは真に之を謂うのであろう。今は只大責任を負うて機宜の処置を敢行する外はない。
 ここからは、飢えた国民が暴動を起こすかもしれないという恐怖感と危機感、それを乗り切るためにはいかなる超法規的な非常措置でも許されるという決意が読み取れます。そう、戒厳の施行です。閣議の反対でつぶされたのですが、あらためて是が非でも戒厳を施行せねばならないという思いを抱いたのではないでしょうか。

 さて、大地震が発生した9月1日の午後から夜にかけて、朝鮮人による放火・投毒・暴行といった流言蜚語が発生しています。(①p.57~8)

 九月一日午後四時、突如トシテ鮮人放火ノ流言管内ニ起リ (王子署)

 九月一日午後六時頃、鮮人襲来ノ流言初めて管内ニ伝ワリ (芝愛宕署)

 九月一日午後七時頃、「根岸町相沢及山元町方面では鮮人約二百名来襲シ放火強姦井水に投毒の虞ありとの浮説が寿警察署管内中村町及根岸町相沢山元方面から伝わり」 (山手本町署)

 鮮人暴行ノ流言管内ニ伝ワリシハ九月一日午後八時ニシテ之ト同時ニ鮮人ニ対スル迫害モ亦開始セラレ… (小松川署)

 なお井戸に毒を投げ入れたという流言については、保健所等が汚水や生水を飲まないように注意したことから発生したという説もあります。(①p.74) また、三・一独立運動の大弾圧で、日本人は朝鮮半島の各地で、飲料水、鮮魚、砂糖など各種の食料品に毒を投じ、朝鮮人を大量に殺害しました。それを知っている日本の官憲が、大震災時に今度は在日朝鮮人がやったという流言をばらまいたという説もあります。(⑦p.139~40)
by sabasaba13 | 2017-09-19 06:19 | 関東大震災と虐殺 | Comments(0)