2017年 11月 29日 ( 1 )

トスカ

c0051620_6261055.jpg 人並はずれた知識や情熱や気合はありませんが、オペラは大好きです。音楽、文学、演劇、美術をまじえた総合芸術に身も心もどっぷりと浸れるひと時をこよなく愛します。これまでもリヒャルト・シュトラウスの『ばらの騎士』、プッチーニの『蝶々夫人』、モーツァルトの『魔笛』と『フィガロの結婚』、ワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』と『ニュルンベルクのマイスタージンガー』、ヴェルディの『椿姫』などを聴いてきましたが、これからも機会を見つけて足繁くホールに通うつもりです。

 今回は、私の大好きな広上淳一氏が、プッチーニの『トスカ』を振るということで、山ノ神を誘って池袋の東京芸術劇場に行ってきました。座席は正面二階、舞台全体を見渡せ、指揮者とオーケストラの演奏も一望できる良い場所です。
 さてオペラのあらすじですが、ところはローマ市、時は1800年6月、ナポレオン率いるフランス軍が欧州を席巻していた頃です。ナポレオンを支持する共和派の画家カヴァラドッシは、脱獄した友人の政治囚アンジェロッティの逃亡を助けたために、反共和派の警視総監スカルピアに死刑を宣告されます。彼の恋人で有名歌手トスカは、彼を救おうと警視総監スカルピアを殺しますが、スカルピアの計略でカヴァラドッシは処刑され、そしてトスカも彼の後を追って自殺するという悲劇です。なんと主役級の人物がすべて死んでしまうのですね。
 注目は、カンヌ国際映画祭審査員特別大賞グランプリを受賞した映画監督の河瀨直美氏が、自身初となるオペラ演出に取り組んだことです。舞台を古代日本のような世界におきかえ、"ローマ"を"牢魔"に、"トスカ"を"トス香"に、"カヴァラドッシ"を"カバラ導師"、"スカルピア"を"須賀ルピオ"に読み替えています。正直言ってあまり意味はなかったと思いますが、大スクリーンに映した映像を多用した演出は見ごたえがありました。水の泡、炸裂する花火、子どもなど、劇的な効果をよくあげていたと思います。
 肝心のオペラですが、緊迫感にあふれるストーリー展開に加えて、「妙なる調和」や「歌に生き、愛に生き」や「星は光りぬ」といった素晴らしいアリアがちりばめられた、見事な作品です。トス香を演じたルイザ・アルブレヒトヴァ(ソプラノ)とカバラ導師を演じたアレクサンドル・バディア(テノール)は、みごとな歌唱力と表現力でした。しかし特筆すべきは、須賀ルピオを演じた三戸大久(バリトン)をはじめ、他の歌手はすべて日本人でしかも主役の二人に劣らない好演でした。いやあ、日本の歌手も上手くなりましたねえ、安心して聴くことができました。
 指揮者の広上淳一氏も、東京フィルハーモニー交響楽団も大熱演。感極まって、ぴょんぴょんと飛び上がる広上氏の姿を何度も見ることができました。

 というわけで、喜ばしき一夜でした。たまにはこういう素敵な夜を味わえないと、生きている甲斐がありませんね。そしてモーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』、ビゼーの『カルメン』、ヴェルディの『アイーダ』などなど、まだ見ぬオペラに思いを馳せました。いまだ聴いていないオペラが山のようにある、なんて私は幸せ者なのでしょう。
by sabasaba13 | 2017-11-29 06:26 | 音楽 | Comments(0)