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京都錦秋編(16):重森三玲邸庭園(06.11)

 さて急ぎましょう。北上して京都大学近辺に到着、地元の方々に道を訊ねながら少々遅刻して重森三玲邸にたどりつきました。彼は昭和を代表する作庭家にして庭園史研究家、代表作は東福寺方丈庭園。その彼の邸宅の一部と自ら設計した枯山水の庭が公開されており、事前予約をすれば見学できます。またイサム・ノグチとの交友もあり、しばしばここを訪れたとか。パリにあるユネスコの日本庭園を設計した際に重森の助力を求めたことが、交友のはじまりだったそうです。書院に通され、しばし係の方が庭と建物に関する説明をしてくれました。眼前には枯山水、縦方向に尖った石がバランスよく配置され、二色の苔と白砂がモダンな意匠をつくりだしています。書院にはイサム・ノグチから贈られた「あかり」が二つ。ここから左にまわりこむと茶室「好刻庵」があります。正面にある障子は青と銀の市松模様で構成された、波と舟を模しているかのような斬新な意匠です。右手にはモンドリアンを思わせるような違い棚、そして彼が製作した陶器製の釘隠し。茶室の左手にある水屋と坪庭もいいですね。前者は曲線と斜めに配置した直線をうまく組み合わせています。立石と長方形の平石を白砂の上に配置した、現代彫刻のような坪庭も見ものです。好刻庵にあがって抹茶をいただき、しばし時を忘れました。濃密にして洒脱、モダンにして古典、一見の価値あるお庭です。詳細な情報については下記のサイトをどうぞ。

 ●重森三玲邸庭園  http://www.est.hi-ho.ne.jp/shigemori/

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 本日の四枚です。
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by sabasaba13 | 2007-02-28 06:18 | 京都 | Comments(0)

京都錦秋編(15):白川・日向大神宮(06.11)

 実は重森三玲邸庭園見学の予約を11:00に入れております。よってここから北上して白川ぞいを走り、昨年見損なった穴場の日向大神宮を何とかして探し出して見物して、その頃には京都大学近辺に着ける算段です。色とりどりの紅葉が川を覆っており、秋の白川もなかなかよい風情でした。「かにかくに祇園はこひし寝るときも枕の下を水のながるる」という吉井勇の歌碑もあります。
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 すぐ近くに噂の「一澤帆布」と「一澤信三郎帆布」があるので寄ってみましたが、残念ながら両店とも休業。兄弟による相続争いから弟が独立、そして職人のほとんどが彼のもとに集まり後者の店をつくったそうです。
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 そして日向大神宮へ、今回は万全を期して二種類の地図を印刷して持参しました。地下鉄蹴上駅からインクライン下のガードを抜けずに、大通りをしばらく南下すると浄水場の前に小さな鳥居がありました。ゲット! 自転車を置いて十分ほど山中の狭い参道をのぼると到着です。ここの紅葉は素晴らしいものでした。訪れる人もまばらで、落ち着いて眺めることができます。鳥居のところで湧き出る水を大きなタンクやボトルに詰め込んでいる人が結構いましたが、何か霊験があるのでしょうか。なおここから南禅寺に続くトレッキング・コースがあります。
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 穴場その八:日向大神宮


 本日の二枚、上は白川、下は日向大神宮です。
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by sabasaba13 | 2007-02-27 06:20 | 京都 | Comments(0)

京都錦秋編(14):渉成園(06.11)

 本日は最終日です。天気予報によると曇りのち雨。山ノ神の力を信じて、自転車ツァーを決行することにしましょう。「京都見聞録」さんは約束どおり、山ノ神用の自転車を8:30に届けてくれました。まずは京都駅のすぐ北にある渉成園へ行きました。東本願寺の所有する別邸と庭園で、志納金をおさめれば自由に入ることができます。街中にあるとは思えないほど広々としたお庭で、橋や築島をしつらえた鯉・鴨が遊弋する池もありなかなか良い風情です。楓は少ないのですが、イチョウやドウダンツツジ(※放射状に出る枝の状態が、昔夜間の明かりに用いた結び灯台の脚に似ることから、灯台ツツジといわれ、それから転訛したそうな)など、いろいろな紅葉が楽しめます。以前、東本願寺の窓口で入園券を無料でもらい入園した記憶がありますが、手入れもわるく荒れ果てていたという印象でした。池に近づいただけで鯉が押し寄せ、パンをあげるとピラニアのようにくらいつきさらには折り重なるように岸辺に乗り上がってきたのには驚きました。不憫に思った山ノ神が、お土産に買った麩を一袋ばらまいたことを鮮明に覚えています。今回も、ホテルの朝食で出されたパンをしこたま持ってきたのですが、がっついた様子は全くありませんでした。志納金をとっているためか、餌をちゃんともらっているようです。衣食足りて礼節を知る、恒産あれば恒心あり。観光客もほとんどおらず、のおんびりと古都の錦秋を味わうことができました。
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 穴場その七:渉成園

 本日の二枚です。
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by sabasaba13 | 2007-02-26 05:59 | 京都 | Comments(0)

菜の花スパゲティー

c0051620_23524043.jpg ひさしぶりの「やまつく」(山ノ神ですらさえ作れる料理)コーナーです。「そんなコーナーがあったのか」というつっこみは日本海溝に捨てて、まあ聞いてください。先日「世界ウルルン滞在記」を見ていた山ノ神が、番組の中で紹介された菜の花スパゲティーのレシピを記録して、再現してくれました。これが簡単でじつに美味しい! さっそくみなさんに紹介します。
[用意するもの]
スパゲティー(何でもかまいませんが、太目が私の好み)
菜の花
アンチョビ
ニンニク
オリーブ・オイル

[作り方]
1.菜の花(適量)といっしょにスパゲティーを茹でる。生麺だったら同時に、乾麺だったらあとで菜の花を入れる。
2.オリーブ・オイル(適量)で、きざんだニンニクとアンチョビ(適量)を炒める。
3.1に2をからめてフィニート。
 信じられないくらい簡単な作り方なのですが、味は保証します。アンチョビの塩辛さと菜の花・ニンニク・オリーブの風味が絶妙のマッチングです。シンプルにして味わい深いので、食べ飽きることもありません。さっそく撮影して載せようとしたら「盛り付けがみっともないからやめて!」という山ノ神の悲痛な叫び声が… 家の中では妖怪・百目のようにそこいらじゅうに穴のあいたTシャツを着ているじゃないか、ぶつぶつと口にだすわけにもいかず「御意」と答えて、モザイクをかけました。盛り付けがうまくいったら、写真をさしかえます。
by sabasaba13 | 2007-02-25 08:15 | 鶏肋 | Comments(0)

「龍(RON)」

 「龍(RON) 全42巻」(村上もとか 小学館)読了。何と言えばいいのでしょう、大河マンガ? ビルトゥンクス・マンガ? 時は昭和のはじめから敗戦まで、所は日本・中国・満洲、財閥の御曹司・押小路龍と、岩手の貧農の娘・田鶴ていの二人を狂言回しとして、日本の社会の動きや「満洲国」建国とその崩壊を描ききった壮大なるマンガです。全42巻という大部の書なので、推薦するのは心苦しいのですが一読の価値はあります。三週間ほど寝不足になってしまいました。
 村上もとか氏は、「赤いペガサス」「六三四の剣」などの傑作をつくられていますが、たいへん力のある漫画家です。人体の動きの表現、特に表情の表現に関しては、日本でもトップ・クラスだと思います。売れてくると筆力が落ちる漫画家が多い中、その表現力にますます磨きがかかってきた稀有な存在です。中でも女性の表情の美しさには驚嘆、何度も胸が疼いてしまいました。
 柱となるテーマは、財閥の長男として生れながらも幾多の困難に出会い波瀾万丈の人生を送り、最終的には日本と中国の架け橋にならんとする男の物語です。一種の貴種流離譚かな。特筆すべき点は二つ。まずは多士済々たる登場人物と、その性格描写です。甘粕正彦、石原莞爾は定番としても、伊達順之助や鮎川義介まで登場するのには驚愕。さらに毛沢東、周恩来、溥儀、蒋介石、馬占山など登場します。そして善玉/悪玉といった二元論的な単純な描写ではなく、それぞれの人物の善悪を抱え込んだ複雑な内面性を描こうとしています。特に後半で重要な狂言回しを演じる甘粕の描写には惹かれました。大杉栄等虐殺の詰め腹を切らされ、新天地「満洲国」の夜の帝王として君臨し、「五族協和」という理想に人生をかけた男。実際の甘粕像については浅学のためよく知らないのですが、興味がわいてきました。欲を言えば、岸信介を登場させて欲しかったですね。
 二つ目。これが私にとってこのマンガの最大の魅力なのですが、社会の弱者や虐げられた人々をしばしば取り上げ綿密に描写しているところです。京都の芸妓や乞食、在日朝鮮人、岩手の小作人、中国や満洲の貧民・貧農… しかも単なる背景ではなく、彼ら/彼女らの暮らしや矜持までをも描こうとする筆者の姿勢には感嘆します。白戸三平の「カムイ伝」にも匹敵する偉業です。
 なお田鶴ていは、女優そして映画監督として活躍するという設定なのですが、その際に登場する溝口健二・小津安二郎・山中貞雄の映画製作に関する三者三様の個性も面白かったですね。大変参考になりました。中でも戦地で死んでしまう山中と田鶴ていの心の交流には胸を打たれます。そしてもし彼にもっともっと映画をつくってもらいたかったと、あらためて思いました。
 というわけで玉石混交の日本マンガ界にあって、地道に力強く真摯な作品を生み続ける村上もとか氏、これからも応援していきます。ふぁいとっ!
by sabasaba13 | 2007-02-24 08:26 | | Comments(0)

「DAYS JAPAN 写真版 世界がもし100人の村だったら」

 「DAYS JAPAN 3月号 写真版 世界がもし100人の村だったら」観了・読了。何回も何回も紹介しておりますが、今世界で起きている現実を写真によって報道し、状況を変える一石になろうという志をもった気鋭の写真月刊誌です。昨今の萎縮した日本のジャーナリズムの中で、天狼星のように孤高に輝く稀有な写真誌、一人でも多くの人に読んでいただきたいな。というわけで、この写真誌を世に広めるための地道な広報活動を勝手に続けたいと思います。
 今月号も、普通のメディアが伝えない世界や日本の今を鋭く抉り取ってくれます。特集は、話題となって同名の本を、この月刊誌らしい視点から再構成し、関連する写真を添えたものです。たとえば…
75人は食べ物の蓄えがあり/雨露をしのぐところがあります
でも あとの25人は/そうではありません
17人は きれいで安全な水を/飲めません

20人は栄養がじゅうぶんではなく/1人は死にそうなほどです
でも 15人は太り過ぎです
 そこに添えてある二枚の写真は、アメリカのある家族の一週間分の食事と、スーダン難民キャンプのある家族の一週間分の食事。もう一枚は、飲むため地面にたまった雨水をすくうスーダン国内避難民のこどもたち。絶望的な、あまりに絶望的な不平等・不公正! 自らの微力さを思い知るとともに、まずは世界や日本の現実を知り、なぜそうなったのかを考え、自分にできることを実行に移すことが重要なのだろうと自戒します。こうしたことを行う能力こそが、"学力"に値するのではないでしょうか。ぜひこの特集は、副読本として子供たちに読んでほしいと思います。「それは政治的偏向だあっ」という文科省官僚の怒号が聞こえてくるような気がしますが。

 そしてイラクの現状についての報告。2月3日に起きた最大規模の自爆テロ(死者は135人)は、米英軍による自作自演だという声が、現地では多く囁かれているようです。あれほどの大量の爆薬を合法的に移動・運搬できる存在は他にはありませんものね。シーア派とスンナ派の対立を煽り、大規模掃討作戦を容易にするためだという声もあります。他にも旧日本軍による性暴力をめぐってNHKが番組を大きくカットした問題が、編集権の乱用であると東京高裁が違憲判決を下したニュースも取り上げられています。これに関する伊藤千尋氏のコメントです。
 判決の直後、総務省はNHKの受信料支払いを義務とする法案を国会に出すことに決めた。権力におもねる放送局にカネを出せと政府が国民に強要するのだ。最も傲慢なのは、権力にあぐらをかく、このような人々である。
 異議なあし! 氏は環境破壊に関する写真(オーストラリアの旱魃・海面上昇で海水につかるツバル島の豚・温暖化で融けたアラスカの永久凍土)で、こうしたコメントも述べられています。
 安倍首相は環境立国を目指すと述べ、今年度中に政策を立案するよう環境省に指示した。しかし、必要なのは経済発展よりもスローな生活を目指すことだろう。車を世界に売りまくりながら、途上国の自然破壊を進めながら環境を唱えるのは二律背反である。
 他にも、原子力空母横須賀配備問題、大阪市における路上生活者のテント村強制撤去、フィリピンの人口過密、モルドバの女性の人身売買、後退する氷河、アメリカにおける自閉症の子供たちへの取り組みなどなど、「目をそむけずによおく見なさい」と胸倉をつかまれて頭をぶるんぶるんと前後に揺さぶられるような記事が満載です。中でも石原慎太郎東京都強制収容所所長に関する、斎藤貴男の一文は簡にして要、都民でしたら/でなくても必読です。これを読んでも都知事選で彼に投票する、あるいは棄権するという方がいたら、頭を左右に揺さぶってあげたい。不二家問題に関する、斎藤美奈子氏のコメントも面白かったですね。企業がらみの不祥事には、巨悪と中悪と小悪があるというのが氏の見立てです。小悪(例えば町のケーキ屋)ではニュースにならず、巨悪では広告引き上げなどの報復が怖い。よってその中間の企業がメディアに狙われ、潰れるまで叩き潰される。その条件は、批判しがいがあること、批判しやすいこと。(不二家はこの条件に合致) その最後に記された一文が傑作です。
 巨悪はもっとしたたかだ。たとえば1月末に発覚した東京電力の原発検査偽装事件(77年から02年まで199回にわたって国の定期検査に虚偽のデータを報告していた)のほうが、企業の不祥事としてははるかに重大だろう。ペコちゃんをかまうのと同じくらいの執拗さで、東電のでんこちゃんが「泣いている」と報道されないのが何よりの証拠に見える。
 うまい、座布団三枚! などとふざけている場合ではないですね。こうした巨悪を叩き潰すために、何よりも必要なのは正確な情報と冷静な怒りだと思います。前者を確実に提供してくれるのが「DAYS JAPAN」、これからも購読し続けます。

●DAYS JAPAN http://www.daysjapan.net/
by sabasaba13 | 2007-02-23 06:06 | | Comments(0)

「モード・オブ・ザ・ウォー」

c0051620_681840.jpg 先日、地下鉄の吊り広告で「モード・オブ・ザ・ウォー」という展覧会のことを知りました。東京大学大学院情報学環が所蔵している、第一次世界大戦期のプロパガンダ・ポスターのコレクションを紹介してくれるそうです。これは面白そうだわい、とさっそく行ってみることにしました。場所は、東京の小石川にある印刷博物館。どうやら「トッパン」という印刷会社が運営しているようです。
 大戦終結後、外務省情報部が情報戦研究のために収集した欧米各国の戦争プロパガンダ・ポスターを、東大新聞研究所に寄贈したのが嚆矢で、国際的にも貴重なコレクションだということです。この時代に印刷技術がめざましく進歩したこともあって、ロートレックやミュシャやノーマン・ロックウェルを髣髴とさせる意匠は、純粋な版画として眺めているだけでも楽しめます。ただ残念なことはアメリカのポスターがほとんどで、ドイツ・イギリス・フランスなどのものがあまりなかったことです。
 やはり気になるのは、そこに投影されている政府や軍の意図ですね。第一次世界大戦は、植民地の争奪という国家の死活問題がからんでいるため、妥協の余地なく敵国を屈服させないといけない、しかもそれを可能にする新兵器(毒ガス・戦車・潜水艦・飛行機・機関銃)が本格的に導入された戦争でした。よって戦争が長期化し、消耗戦となり、人類がはじめて経験する総力戦(total war)となったわけですね。そこで国民の戦争への協力を要請し、愛国心と敵愾心を扇動するためのプロパガンダが必要となりました。アメリカの場合、大資本が英仏の産業に投資していたことが、連合国側にたって参戦した理由です。まさか大資本の利益を守るための戦争だとは口が裂けても言えませんから、国民を得心させるための何かしらのレトリックが必要だったのですね。やはり「自由を守るため」というアピールが一番多かったようです、これは今と同じです。政府が要請する具体的な要求は、兵士への志願、公債の購入、食糧の節約、労働における刻苦勉励などなど。そして女性に向けての呼びかけが多いのが、やはり総力戦の特徴です。子を戦場へ送り出すよう要求するもの、赤十字募金、生産現場への動員、そして消費の節約。女性の存在を抜きにしては、もはや戦争を遂行できないという政府の認識がよくわかります。意外だったのは、色っぽく若い女性が登場するポスターが多かったことです。これについてはカタログで若桑みどり氏がみごとな解説をされているので、引用します。
 戦時における女性の多様な役割と、男女とりまぜての戦争システムの構図を理解するには、アレナ(※競技場)で血を流している男性と、これを囲むスタンドにいる女性を想像すればよいというエルシュテインの説は、ある意味で正しい。彼女は、女性たちは男らしく戦う男らを興奮して応援する大観衆だという。そこには勝利者にキスという褒美(名誉)を送る女神がいる。またセクシーなチアガールもいる。控えた看護集団もいる。会場の整備や補修もここでは女性が代わりにやっているのだ。もしも女がいなかったら、戦争システムは維持できない。それは観客のいない競技のようなものだ。
 てことは、この大競技場を運営する国家としては、女性の協力と支援が絶対に必要だということです。そのためには、こうした競技(戦争)に何の疑問も持たず批判もせず熱狂的に応援し、そして選手たちを再生産してくれるのが、政府にとっての理想の女性なのでしょう。こうした文脈で考えると、柳沢伯夫厚生労働相の「女性は産む機械」という発言の意図がよく理解できます。「良妻賢母」教育が復活しないように、みんなできちっと見張っていきましょう。
 もしあるのでしたら、日本の戦争プロパガンダ・ポスターの展覧会も見てみたいものです。私の知る限り、セーラー服を着たエロチックな女性がウィンクしながら「もし私が男だったら、ガダルカナルへ行けるのにい」などというポスターはないと思います。こうしたメンタリティの違いを分析するのも面白そう。

 カタログには前述の若桑氏の小論や、樺山紘一氏による一次大戦に関する適確な概説も載っています。見る前に買って読んでおくべきだったなあと思っています。風変わりなTシャツ・ファン(実を隠そう小生がそうなのですが)がいらしたら、ここのミュージアム・ショップはお薦め。ぬぅわんと、グーテンベルク聖書をプリントしたTシャツを売っております。

●印刷博物館 http://www.printing-museum.org/
by sabasaba13 | 2007-02-22 06:09 | 美術 | Comments(4)

京都錦秋編(13):(06.11)

 ガイドブックによると隣にある崇道神社も紅葉の穴場だそうですが、陽が翳っているため参道が薄暗くあまり楽しめませんでした。さて、いよいよ山ノ神と合流です。待ち合わせ場所は三十三間堂の隣、京都国立博物館の前にあるハイアット・リージェンシーのロビーです。約束した時間が迫っているので、川端通りを脱兎の如く南下、歩道と車道を縦横無尽縫うように走り、定刻より十分遅れで到着。実はここはずっと定宿にしていた京都パークホテルだったところで、近年に外資系企業に買収され生まれ変わったのです。どう変わったのかを確認したかったのですが、かなりモダンでクールな感じに改装されていました。彼女は評価していましたが、私は以前の暖かくて野暮ったい雰囲気が好きでした。いずれにせよ宿泊料金が高額なので、もう泊まることはないかもしれません。
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 丸太町にある山ノ神ご用達の漬物店で買い物をしたいというので、京阪電鉄三条駅で再び待ち合わせ。ここから加藤順漬物店まで歩き、山のように漬物を買い込んで知人への配送を依頼。なおこちらのトイレに「手に持ちてねらい定めし玉の露外に散らすな音無の滝」という歌が貼ってありました。西行の作だったかななどと考えていると、ねらいを外しそうになりました。危ない危ない。なお玉の露を絶対に散らさせない素晴らしい仕掛けを、数年前にオランダ・ハーグのマウリッツハイス美術館で見つけました。詳細はこちらをどうぞ。安倍伍長か小泉元軍曹が石原強制収容所所長の顔を刷り込めばより完璧です。
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 夕食はこれまた我々ご用達の洋食屋「金平」に行くことにしました。鴨川を渡り、ホテルフジタの裏手の道を歩き、店の火影が近づいてくるにつれ胸の鼓動が高まってきます。タンシチュー、オムライス、カニコロッケ、カキフライ、ハンバーグ、何を食しようかな。と… み、み、み、み、み、み、み、み、み、み、店の名前が変わっている! つぶれた… 頭頂部に鉄槌をくらったような衝撃、(ほんとに)一瞬立ち眩みがしました。けっこう繁盛していたので客足が遠のいたのが原因ではなく、高齢であったご主人に何かあったのだろうと想像します。嗚呼なぜ二年前に来た時に「わいが後をついだる!」の一言が言えなかったのだろふ… これで京都に来る楽しみの一つが確実に消えました。うなだれながら私は重い足でペダルをこぎ、彼女は重い体重をタクシーに埋め、ホテルで落ち合うことにしました。彼女の荷物を部屋に置いて、フロントで紹介してもらった和食「有田」で傷心を癒すことにしましょう。地下鉄五条駅から徒歩数分、店内は気さくですが趣味のよい感じで、料理もなかなかいけました。さば寿司、鯨フライ、かぶら煮、代金は高めですがいずれも満足できるお味。これで京都に来る楽しみの一つが確実に増えました。
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 本日の一枚は、金平のタンシチューの遺影です。合掌。
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by sabasaba13 | 2007-02-21 06:14 | 京都 | Comments(2)

京都錦秋編(12):蓮華寺(06.11)

 ここから蓮華寺へは数分で到着。途中で、水を入れたペットボトルを塀ぞいに林立させた家を発見しました。京都人の犬と火事に対する長い長い闘いの歴史はうすうす感じていましたが、ここにいたって猫へも宣戦布告をしたのか… 私としては犬と火事は嫌いなので前者の闘いは支持しますが、猫は大好きなものですから後者については中立を宣言します。蓮華寺は夏と冬に訪れたのですが、その簫索とした趣が気に入ってしまいました。これならば晩秋はさぞ素敵な雰囲気になるであろうと当たりをつけ、訪れた次第です。寺の山門の脇に自転車を置き、ふと中を見ると何やら怪しく輝いています。
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 一歩足を踏み入れて驚天動地。地面を一面に敷き詰め黄色く輝くイチョウの落ち葉と、天空を覆うかのような色づいた楓。しばらく口を開けながら見惚れ、我に返って写真を取りまくりました。中に入ると、大原宝泉院のように、部屋の二方が開放されており、柱・長押・床という横長の額縁でお庭を切り取って見られます。こうすると、部屋内部の暗とお庭の明がみごとなコントラストを奏でます。また枠線で切り取られた光景に視線を集中させることができ、見る場所によっていろいろと構図を変えられます。私はこの趣向が大好き。もちろん、人であふれかえっていないことが大前提ですが、宝泉院とは違い蓮華寺は申し分ありません。小さなお庭ですが池・仏堂・蓮華寺灯篭が手際よく配置され、散策することもできます。苔のむした庭を覆いつくすような散りもみじと、これまた苔むす灯篭がえもいわれぬ雰囲気をかもしだしていました。仏堂の扉を地面にとめる金具に、金網で囲われた鍛造の蝉の彫刻がついていたので、後でお寺の方に尋ねてみました。すると、盗難除けのまじないらしいとのこと。成程、とつぜん蝉に鳴かれたら泥棒もさぞびっくりするでしょうね。なおこうしたまじないは寺社建築によく見かけるとのことなので、これからは気をつけてみるつもりです。というわけでリピーターになりそうな予感。
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 穴場その六:蓮華寺


 本日の三枚です。
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by sabasaba13 | 2007-02-20 06:10 | 京都 | Comments(0)

京都錦秋編(11):実相院・三宅八幡(06.11)

 そして(たぶん)京野菜をつくっている畠を右手に見ながら小道を走り、正面に比叡山が見える大通りを叡山電車の線路と並走しながらしばらく行くと岩倉駅に着きました。
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 ここから左におれ、小川ぞいに数分走ると実相院です。数年前にタクシーの運転手さんに穴場だと教えてもらったのですが、とんでもない。人はあふれているは、観光バスが押し寄せているは、もう立派な名所と言っていいでしょう。呼び物は「床もみじ」。鏡のように磨かれた漆塗りの床(写真中の矢印)に、もみじが映るという趣向です。惜しいことに曇天なのでそれほどクリアには映りませんが、なかなか綺麗なものでした。なお立ち入りは禁止で、小さな衝立の後ろから見るだけ。これは理解できますが、どういうわけか写真撮影は禁止。フラッシュをたかなければ何の問題もないと思うのですが。想像する理由は三つです。(1)絵葉書販売促進のため、(2)権威を高めるため、(3)記録にとらずじっくりと見てもらうため。たぶん(1)か(2)だろうなあ。庭園は山並みを借景とした枯山水で、左側には様々な色合いの楓がグラデーションを奏でるかのようにもこもこと並んでいます。
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 そしてすぐ近くにある岩倉具視幽棲旧宅を見物。
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 そして山と磐座(いわくら)という巨石を神体とする山住神社を見物。後者は古代信仰の遺構ですね、なるほど「岩倉」という地名はここからつけられたのか。そして進路を西にとり、八瀬方面へと向かいます。途中で餃子チェーン店「王将」を発見。誰かが、京都人のソウル・フードと言っていたような覚えがあります。いつか食べてみたいな。
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 三宅八幡という神社の境内にも紅葉が散見されたので寄ってみると、右手に小さな池がありました。かつて米を搗いていた水車小屋も移築されておりなかなかの風情です。水面に映るもみじと水車、幻想的な光景でした。プチ穴場です。
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 本日の四枚、上の三枚が実相院、下の一枚が三宅八幡です。
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by sabasaba13 | 2007-02-19 06:15 | 京都 | Comments(4)