いよいよ最終日です。まずは岡山市内にある、登録有形文化財に指定されたという火の見櫓を拝みにいきましょう。事前に入手した情報によると、京橋にあるとか。駅前にある路面電車の地図で確認すると、旭川にかかる京橋がありました。路面電車の東山線に乗ること約十分、西大寺町で下車し、川の方向へ少し歩くと川沿いにすらりと屹立するスレンダーな火の見櫓が見えます。百済観音像のようなスマートなお姿に見惚れ、いそいそと近づき頬擦りをし優しく愛撫。解説板によると、1924(大正13)年に、「万納屋(よろず屋)」こと坪田利吉氏が大八車による行商で稼いだ私財を投じて寄贈した十二基のうちの一つだそうです。(四基が現存) 岡山空襲の時にも急を知らせるなど人々の暮らしを見守ってきたのですが、数年前に老朽化のため撤去されそうになりました。しかし町内会の尽力により保存が決まり、補修・錆落とし・塗装がなされてこうして見事によみがえりました。いい話だなあ。なおすぐ近くにある京橋は日本建築会推薦土木遺産に、京橋水菅橋も登録有形文化財にそれぞれ指定されています。
さて再び路面電車に乗って岡山駅に戻り、閑谷学校へと向かいましょう。通勤・通学時間にあたっているためでしょうか、次から次に客が乗り込んできてあっという間に満員。路面電車は人間的な速度で、のてのてと駅へと向かいます。お年寄りにも乗降が容易で、環境汚染および交通渋滞の解消に貢献する路面電車。いつまでも走り続けてほしいですね。また、新たに路面電車を導入するという英断を各自治体にお願いしたいものです。我が物顔にのさばる自動車どもから、人間の手に街を取り戻りましょう。
岡山駅に到着し、駅前を歩いているとさっそく見つけました、御当地ポスト(と私が勝手に命名)。こちらでは桃太郎が頬杖をつき物欲しげな目で虚空を見つめていました。もちろん、桃太郎が、G・W・ブッシュのようにただただ財宝を掠め取るための侵略にいざ行かんとしている本格的な銅像もありました。お供の猿・犬・雉に日本国の姿がオーバーラップしてしまうのは私だけ?
弊衣破帽に高下駄をはいた蛮カラ(⇔ハイカラ)学生の銅像は旧制第六高等学校(現岡山大学)の生徒を模したものでしょうか。何故このような銅像を駅前に置いたのか、よく意図がわかりません。その近くで、いやに恰幅がよくて背の高い運動着姿のうら若き女性たちが「お願いしまああああす」と声を張り上げていたので、どりゃどりゃと行ってみると、"岡山シーガルズ"というバレーボールチームの広報活動でした。
さて列車の発車時刻まで少し時間があるので、旅の定番、駅構内にあった喫茶店でモーニング・サービスをいただきました。慌しく行き交う会社員や学生のみなさんを横目で見ながら、ゆで卵とトーストとサラダを食し香り高い珈琲を堪能する至福のひととき。さてそろそろ時間です。
本日の一枚です。