阿佐ヶ谷・高円寺・西荻窪編(1):阿佐ヶ谷(08.5)

 薫風が爽やかに鼻腔をくすぐり、雲ひとつだにない快晴の皐月某日、ひさしぶりの東京散歩に出かけてまいりました。目的地は、好著「大人のための東京散歩案内」(三浦展 洋泉社COLOR新書)で当たりをつけていた阿佐ヶ谷・高円寺・西荻窪です。メイン・ディッシュは元気な商店街+閑静な住宅街、もし入手できたら面白看板・銭湯・火の見櫓(※これは望み薄)で味付けをして、デザートは善福寺公園の東京女子大和えという、ミシュランの★★★をねらった超豪華版。なお山ノ神は所用のためお留守番です。住宅地をうろついてくると言うと、「不審者に見られないよう、くれぐれも地味で目立たない恰好をしていって」と懇願されました。ようがす、人生意気に感ず、糟糠の妻の頼みとあらば最善のコーディネイトをしましょう。白いポロシャツ+ジーンズ+テニスシューズ、結局いつもと同じ服装でしたけれどね。持参した本は「高度成長」(武田晴人 岩波新書)。

 まずは阿佐ヶ谷です。東京を東西に貫く中央線に乗って、新宿から西行すること約十分で阿佐ヶ谷駅に到着です。三浦氏によると"上品な老婦人のような街"だそうですが、東山千栄子のような雰囲気なのかな、これは楽しみです。まずは駅の北側を彷徨しましょう。改札口の右手には線路に沿って連なる小さな新進会商店街があります。いきなり嬉しかったのは、喫茶店が数軒あり、みな営業中、しかも店独自のモーニング・サービスを競い合っていることです。よりどりみどり、ど、れ、に、し、よ、う、か、な、や、ま、の、か、み、さ、ま、は、あ、て、に、な、ら、な、い、ぞ、と、己の判断で選んだのは喫茶「KEGON」。さっそく入店して注文、珈琲・ツナ入り焼きトースト・サラダ・ゆで卵を堪能いたしました。明るく落ち着いた雰囲気の店内、互いの仮想私空間を侵さぬよう計算されたテーブル間の距離、数人の商店主らしき男性が新聞を読んだりメモを書いていたりしています。心あたたまる光景ですね。
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 ご馳走様、それでは徘徊の開始です。まずは上野にある和菓子屋からのれん分けした「うさぎや」へ寄りますか。正月にそちらで買ったどら焼きがたいへん美味しかったので、こちらのお店も期待できるでしょう。公衆電話で参謀総長の意向を確認すると「スペインの雨は主に平野に降る」という指示でした。暗号表で解読し、どら焼きとうさぎ饅頭を購入。午前九時の開店とほぼ同時に店に入ったのですが、もう数人のお客さんがおりました。どら焼きをしょって徘徊するのは少々難儀ですが、売り切れる恐れ大なのでやむをえないでしょう。隣にあるのが「大提燈米穀店」、なにやら謂れがありそうな店名ですね。
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 本日の一枚です。
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by sabasaba13 | 2009-01-17 19:20 | 東京 | Comments(0)
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