アイルランド編(12):ナショナル・ギャラリー~セント・スティーヴンス・グリーン(08.8)

 美術館に行く前に、病院の南側にあるメリオン・スクウェアという公園の北西隅にあるオスカー・ワイルド像にご挨拶。巨大な石の上に、ほぼ等身大のきわめてリアルに表現・彩色されたワイルドが皮肉な笑みを浮かべながらふんぞりかえって坐っています。ここから通りをはさんで向かいにあるのがナショナル・ギャラリーです。
c0051620_824461.jpg

 雨は依然降りやまず服も濡れてきたので、ちょうどよい雨宿りになりました。クロークに荷物を預け、受付で訊ねると何と入場は無料。行政が公立の美術館・博物館を雁字搦めに縛り「経営」を競い合わせる不毛の地から来たわれわれにとっては、驚愕です。敬意を表して、募金箱に1ユーロ寄付をしました。(せこっ) なおもらったパンフレットには、この美術館に寄付をした方々の名が列記されています。こうしたノブリス・オブリージェ(身分の高いものは社会的責任を負う)にも支えられているのですね。惜しむらくはお目当てだったフェルメールの「手紙を書く婦人と召使い」が、展覧会のために東京・上野に遠出しています。ああ悔しい。カフェで珈琲をいただき一休み、そして展示室へ。イェーツ一家などアイルランド画家の絵を中心に、ボッシュ、カラバッジョ、レンブラント、ルーベンスら巨匠の作品が陳列されています。とある展示室の入り口に入った瞬間、女性の肖像画に視線をからめとられてしまいました。何の変哲もない肖像画ですが、明らかに何かが違う… まるでモデルの性格や資質や生き方まで容赦なくえぐりだし描きってあるような気がします。作者は…ゴヤでした。あらためて彼の凄さを見せつけられた思いです、ふう。
 それぞれのペースで鑑賞し外へ出ると、まるで「よく我慢したね、(小松政夫の口調で)あんたは偉いっ」と言わんばかりに出入口横に灰皿が設置してありました。お言葉に甘えて紫煙をくゆらしながら空を見上げると、幸い雨はあがっています。それではすぐ近くにあるセント・スティーヴンス・グリーンという公園へと向かいましょう。公園の北東隅にある銅像はウォルフ・トーン像、英国からの独立を目指す 18 世紀の政治組織ユナイテッド・アイリッシュメンのリーダーであったウォルフ・トーン(Wolfe Tone)の記念碑ですね。その裏側には1845~49年に起きたジャガイモ飢饉による餓死者を悼んだモニュメントがありました。なお、遅かりし由良之助、六日の菖蒲十日の菊、After the carnivalですが、もう一つ大飢饉のモニュメントがあることを今知りました。税関の東、リフィ川北岸の川沿いに置かれているそうです。
c0051620_8243174.jpg

 それではしばし公園を散策することにしましょう。17世紀、ここは、広場(スクエア)を取り囲む住宅地「グリーン」に住む人々のプライベート・ガーデンだったそうです。1880年代に大富豪ギネス家がアイルランド議会にかけあい、さらに資金を提供して池や噴水、花壇や木を並べ、一般の人々が利用できる公共の公園に変えたそうな。広さは約9ヘクタールで日比谷公園の半分くらいかな。池と芝生と木立が気持ちのよい公園で、ダブリン市民の憩いの場となっているようです。ベンチに坐って語らう人、読書をする人、サンドイッチを頬張る人、みなさん三々五々雨の止んだ午後のひと時を楽しんでおられました。
c0051620_8261995.jpg

 またここには詩人のイェーツ(ヘンリー・ムーア作の抽象彫刻)、作家のジョイス、マーケヴィッチ(イースター蜂起に参加後解放され、イギリス女性議員第一号となる)といったアイルランドの偉人たちの銅像があちこちに置かれています。なおThomas M.Kettle(1880~1916)という人物の胸像もありましたが、どういう方なのか調べてもわかりませんでした。イースター蜂起の年に殺され、"Poet, Essayist, Patriot"と記されているので、独立運動に関わった方なのでしょうか、ご教示を乞う。
c0051620_8264045.jpg


 本日の一枚です。
c0051620_827462.jpg

by sabasaba13 | 2009-03-15 08:27 | 海外 | Comments(0)
<< アイルランド編(13):国立博... アイルランド編(11):ダブリ... >>