土佐・阿波編(17):安芸(09.3)

 そしてあかおか駅に戻り、安芸(あき)へと向かいましょう。ここから先の路線は海沿いでしかも高架になっているので眺望は抜群、右手に太平洋をしたがえながら列車は嬉しそうにのてのてと快走します。
c0051620_6105962.jpg

 安芸の一つ手前が球場前駅、阪神タイガースのキャンプ地ですね。トラキチでしたら居ても立ってもいられないでしょうが、私はスワローズ・ファンですので一顧だにせず無視、安芸駅で下車しました。ここでのお目当ては、野良時計、土居廓中(かちゅう)、岩崎弥太郎生家、そして昭和の雰囲気を色濃く残る渋い町並みです。立派な駅舎に地場産業販売スペース(ぢばさん広場)が併設されており、こちらで自転車を無料で借りることが出来ました。観光地図をいただき、コインロッカーに荷物を入れ、さあしゅっ、おっとその前にバスの時刻表を確認せねば。次なる目的地、吉良川および室戸岬までの本数がきわめて少ないことはインターネットで確認しましたが、やはり現地でチェックすべきでしょう。駅前のバス停留所を見ると、おっ、思ったより本数がある。現在の時刻は10:27ですから、昼食をとることを計算に入れて、12:26発ディープシーワールド行きか、13:06発甲浦(かんのうら)行きか、遅くとも14:21発ディープシーワールド行きですね。柔軟性に富んだ戦略をたてられそうです。その近くに「靴が鳴る」の碑、童謡作曲者の弘田龍太郎はこちらの出身だそうです。よって駅前にあったキャラクター人形も「あきうたこ」さんでした。なお新聞王と称せられた黒岩涙香、三菱財閥の創始者岩崎弥太郎も安芸出身です。
c0051620_6112951.jpg

 それでは駅の南側にある市街地を自転車で逍遥しましょう。実は十五年ほど前に安芸に来たのですが、昭和の雰囲気をほのかに醸すレトロな町並みが印象的でした。金網に金文字を貼り付けた酒屋の看板とかね。それらに再会することを楽しみにしていたのですが、キコキコ、ですが、キコキコ、ですが、キコキコ、行けども行けども一向に見当たりません。思い出は美化されやすいのは承知していますが、それにしても一軒も存在しないとは。平板で単調なわりと新しい家々が建ち並ぶのみです。まさか安芸版マリー・セレスト号事件ということもないでしょうから、再開発によって破壊されてしまったのでしょう。ああ残念、"コンときつねがなきゃせぬか"と弘田龍太郎作曲「叱られて」を歌いながら撤退。駅の西側にある「金魚のひるね」の歌碑と岩崎弥太郎の銅像を撮影して、野良時計を求めて駅の北側へと向かいましょう。
c0051620_6115888.jpg

 しばらく走ると、細い水路に沿っていい感じの家並みが建ち並んでいます。割れ瓦と赤土で積み上げた瓦練塀も味わい深いですね、まるで現代美術のようです。
c0051620_612225.jpg

 安芸市九条を守る会による「九条は世界の宝」「九条今が旬」「憲法九条は平和のとりで」「戦争はいや!!」といった看板に元気づけられながらペダルをこいでいると、野良時計に到着。
c0051620_6124849.jpg

 駅からここまで、自転車で十数分というところです。田園風景の中になんとも愛らしい相貌で佇む手製の時計台。これは、1887(明治20)年、畠中源馬が自宅の屋根の上に自ら作ったもので、彼はアメリカ製の掛け時計を分解研究し、歯車などの部品はひとつひとつ鋼を形作るところからすべて手作りしました。ネジで巻き上げられた10キロの分銅は、時を刻みながら、ゆっくり一週間かけて床へ降りてくるそうです。文明開化への邪心なき憧れを彷彿とさせてくれる物件です。ん? 文字盤を見ると十時十分? 腕時計を見ると現在の時刻は11:16… まあご愛嬌ということで。
c0051620_6131170.jpg


 本日の二枚です。
c0051620_6133525.jpg

c0051620_6135715.jpg

by sabasaba13 | 2010-01-13 06:14 | 四国 | Comments(0)
<< 土佐・阿波編(18):安芸(0... 土佐・阿波編(16):赤岡(0... >>