ピーター・ウィスペルウェイ頌

ピーター・ウィスペルウェイ頌_c0051620_73914.jpg 先日ピーター・ウィスペルウェイのチェロ・コンサートに行ってきました。会場は、初台のオペラシティのホールです。実は私、ちゃきちゃきの花粉症なので、この時期のコンサートはつらいですね。「クスリはリスク」「ダムはムダ」「タケヤぶヤケタ」をモットーにしていますので、服薬はしていません。しかし不思議なことに、コンサート会場内と、テニスコートと、○○の上では、ブゥゥワックショオンというクシャミをした記憶がありません。精神力のなせる業なのか、自分を誉めてあげたい。
 閑話休題。指揮は現田茂夫、東京藝術大学生による選抜オーケストラです。曲目は、モーツァルトの「コジ・ファン・トゥッテ」序曲、ハイドンのチェロ協奏曲第一番、ドボルザークのチェロ協奏曲。このホールはタケミツ・メモリアルと呼ばれ、故武満徹氏のプレートがありました。そこに刻まれている言葉です。
できれば、鯨のように優雅で頑健な肉体をもち、西も東もない海を泳ぎたい。
 ひさびさに『雨の樹』を聴きたくなりました。さて演奏です。私もチェロを習っていますので、興味津々。少し荒いところもありますが技巧は確かですね、奇跡的な保存状態で発見されたガダニーニのチェロ(1760年作)を朗々と鳴らします。何よりも良かったのは、音楽は楽しむものだ、という彼の姿勢。それがゆえにオーバーなアクションも気になりません。常に周囲とアイ・コンタクトをとり、体全体をスイングさせながら音楽をみんなと共有しようとしていました。残念なのは、学生諸君が気後れしたのか十分に応えていなかったこと。これは指揮者の責任かな。ハイドンの協奏曲は、縦横無尽、自由闊達、装飾音をアドリブで入れながらの素晴らしい演奏。いやあ興奮しました。あえて言えば、フレーズの途中でたまに音が抜けて弱くなってしまうのが惜しい。ややおとなしいものの、ドボコンもなかなかのもの。学生諸君も影響されたのか、かなりのっています。第三楽章が終わりに近づくと「ああもう終わりか、やだな」と思いました。最後のフレーズ、ジャンジャカジャンジャンジャンが乱れたのが残念。ここがビシッと決まればブラアボと叫ぼうとしたのに。
 「私は、まず官能的、肉体的側面から曲にアプローチします。過度な知的分析ではなく、喜び、楽しむところから始めるのです」 彼の言葉ですが、よく分かりました。1962年生まれ、オランダ出身。これから油がのっていくでしょう、●●を質に入れてでも聴く価値はあります。
 帰宅後、ドボルザークのチェロ協奏曲をジャクリーヌ・デュ・プレのCDで聴きました。極太ソーセージのように音がみっちりつまった剛毅な演奏に脱帽です。ああ彼女の生の音を聴いてみたかった。

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by sabasaba13 | 2005-04-02 07:04 | 音楽 | Comments(0)
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