根川緑道編(1):(09.4)

 紅葉ほどではありませんが、やはり桜の季節になると浮き足立ってしまいます。去年の四月初旬、近場で花見をすることにしました。数年前、千鳥ケ淵に行ったことがありましたが、言語道断の混雑でした。「立ち止まらないでくださあああい」と絶叫するアナウンスにも閉口、もう二度とあんな目にはあいたくありません。とはいえ花の名所に人が押し寄せるのは世の常、桜が奇麗であまり人がいないところはないものでしょうかねえ。と「ルノアール」のココアのように甘いことを思っていたら、山ノ神曰く「ここきれい」。どりゃどりゃ、彼女が指差すのはJTBから「葱しょってこい」と送られてきたカレンダーの写真です。根川緑道? 聞いたことないなあ、でも小川におおいかぶさるように数多の桜が咲き誇っています。インターネットで調べたところ、立川のあたり、よし駄目でもともと、行ってみることにしました。

 地下鉄都営十二号線で東中野まで行き、中央線に乗り換え。車窓から外を見ると沿線の土手に見事に咲き誇る桜並木と菜の花がありました。へえーこんなところがあったのか、帰りに寄ってみましょう。中野駅前の桜並木も素晴らしいのですが、ここは以前に見たことがあるのでパス。阿佐ヶ谷で降りて、昼食用に「うさぎや」でどら焼きを買おうとしましたが、店の前は長蛇の列。まあそれだけの価値はあるのでいたしかたない、おとなしく列に並びました。そしてどら焼きを購入し、ついでに赤飯もゲット。ふたたび中央線に乗り、三鷹で特別快速に乗り換えて立川に到着です。途中、車窓から見えた国立駅前の桜並木も満開でした。多摩モノレールに乗り換えて二駅めの「柴崎体育館」で下車。ところが掲示されていた駅周辺地図に当該地がありません。駅員に訊ねようとしましたが、無人… 経費削減のためでしょうか、でも駅員がいないというのはけっこう不安ですね。右往左往していると、なんとなく人の流れが南の方へ向かっています。流れにのっていっしょに歩いていくと、すぐに人工的につくられた小川にたどり着きました。どうやらここのようです。川ぞいに細長い公園が整備され、花見客でにぎわっていましたが、それほどの混雑ではありません。川にそってぶらぶらと南の方へ歩いていくと小さな池があり、水面に映る新緑を眺めていると、宝石のように輝く物体がすっと眼前を横切っていきました。カワセミだ。どうやらこのあたりに住みついている常連らしく、三脚をセットした写真愛好家のみなさんが待ち構えていました。そして車道下のガードをくぐると、おおっ、ここだここだ。人工的なものとはいえ澄んだ清流、芝生におおわれた緑の土手、そして小川におおいかぶさるように咲き誇る桜並木。静かな水面に桜が映り、あたり一面は桃色の世界です。人手もそれほどではなく、ゆったりと桜を眺めることができました。家族づれや若者たちのグループが思い思いの場所に陣取り、バーベキューを愉しんでいます。予想どおり売店等はなかったので、昼食を持参して大正解。われわれも芝生に座り、メインディッシュの赤飯を手づかみでむさぼり(※箸はくれませんでした)、食後のスイーツ・どら焼きをたいらげ、水筒で持参したブルー・マウンテンを堪能。散り落ちる花びらをつかまえようとする子ども、水と戯れる犬、にこやかに語らう老夫婦、こうしたささやかだけれども確固とした幸せをなぜ世界中の人びとに保障できないのだろう? 未来を思い煩うことなく、家族や仲間とともに花を愛で微笑みあう幸せを。

 本日の四枚です。
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by sabasaba13 | 2010-02-16 06:11 | 東京 | Comments(0)
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