池之端・根津・谷中編(4):大名時計博物館(09.5)

 「愛玉子」の前にあるのがSCAI THE BATHHOUSE(スカイ・ザ・バスハウス)、200年ほど続いた銭湯「柏湯」を改装したギャラリーで、国内・国外の現代美術を展示しているそうです。しかし日曜・月曜・祝日は休館でした、残念。その脇の路地に入るとお寺さんがつづきます。感応寺の門前にあった解説板を見ると、こちら渋江抽斎のお墓があるそうな。やはりこのあたりは鴎外がらみの物件が盛りだくさんです。さっそく中に入って探索しましたが、発見できず。
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 すこし歩くと愛染明王像のある自性院。この像と本堂前にある桂の古木にヒントを得て、川口松太郎が「愛染かつら」を書いたそうです。つやつやと緑に輝く桂の古木は健在でした。その先の金嶺寺には「人間の煩悩はなくなりません 大事なのはこれをコントロールすること 何事も前向きにそして建設的に これが釈尊の教えです」というメッセージがありました。
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 このあたりは上野台地の尾根にあたるためでしょうか、路地が複雑にからみあっていて、多くの坂があります。このあたりで下谷警察署の「ドロボウこれより先侵入禁止」という看板をゲット。その先には周囲を圧するような巨木がそそりたっていました。いそいそと近づいてみるとヒマラヤスギ、そしてその根元の脇に寄り添うように「みかどパン店」が営業されていました。
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 町を見守っているようなこういう巨木・古木を見ると気持ちがほっとします。荷風曰く…
 もし今日の東京に果して都会美なるものがあり得るとすれば、私はその第一の要素をば樹木と水流に俟つものと断言する。山の手を蔽う老樹と、下町を流れる河とは東京市の有する最も貴い宝である。(「日和下駄」p.23)
 両サイドに連なる木々の緑が目にしみる小さな坂は三浦坂、途中に猫グッズを売っている「ねんねこ屋」という店がありました。根津・谷中には野良猫が多いそうですが、まだ遭遇できず。
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 坂はおりずに尾根づたいにすこし歩くと、陶芸家の故上口愚朗が生涯にわたり収集した大名時計が展示されている大名時計博物館があります。古色あふれる門をくぐり、木々がこれでもかと繁茂する庭に入ると、その片隅に質素かつシンプルな造りの小さな博物館がありました。大名時計とは、江戸時代に大名お抱えの御時計師たちが、手造りで製作した美術工芸品のような時計のことだそうです。陳列されている時計の精密な機構と美しい仕上がりには舌を巻きました。「匠の技」とはこういうものをさすのですね。
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 本日の四枚、上から自性院の桂、ヒマラヤスギ、三浦坂、大名時計博物館のお庭です。
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by sabasaba13 | 2010-04-06 06:43 | 東京 | Comments(0)
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