池之端・根津・谷中編(7):谷中ぎんざ(09.5)

 三崎坂にもどりすこしのぼると出桁造りの立派な酒屋が健在でした。そば処「慶喜」とは気になる店名ですね、徳川贔屓の江戸っ子が経営されているのかな。
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 そして信号のところを左折し、長安寺のわきを左に曲がると、感応寺の築地塀がつづきなかなかいい風情です。
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 そして蛍坂をおりてスナック「大使館」(!)の前を通り過ぎると、岡倉天心記念公園があります。
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 岡倉天心の屋敷、そして日本美術院があったところが小さな公園として整備されており、八角堂には平櫛田中作の天心座像が安置されていました。岡倉天心は明治・大正期の美術運動の指導者で、フェノロサとともに伝統美術の再評価にも尽力しました。東京美術学校(現芸大)の校長を首にされた後、1898(明治31)年に在野の美術団体「日本美術院」をここ谷中初音町で創設し、横山大観菱田春草ら若手の日本画家を育成します。しかし経営難と周囲からの批判から(彼らの空気表現の手法から「朦朧派」と攻撃される)、1906(明治39)年に本拠を茨城県五浦に移します。十年足らずの短い歳月ですが、天心を中心に若き俊英たちが新しい日本画を夢見てここで研鑽を積み重ねたのですね。春草ファンとしては感慨もひとしおです。
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 この公園の前の小路に入ると初音湯、そして板塀がつづき緑にあふれた小さな路地が見られました。
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 よみせ通りに出て右折、戸袋に※マークがある高橋屋米店、由緒正しい下町の洋食屋的雰囲気のあるキッチン「マロ」を通り過ぎ、右に曲がると谷中ぎんざです。
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 いやはやもう観光地状態ですね、私のように地図やガイドブックをかかえた観光客はもちろん、外国人ツーリストも散見されます。でも元気一杯の商店街を逍遥するのは楽しいものです。のオブジェが見られるのも嬉しいかぎり。
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 さて山ノ神に約束した今晩のおかず、肉のサトーでメンチカツを買いましょう。店の前には長蛇の列ができていますが、ま、いたしかたありません。十人ほどの行列の最後尾について十分ほど待ちましたが、一向に列は進みません。そして売り子が店の奥に消えてしまいました。「いま揚げていますのでもう少しお待ちを」とか説明があってもいいのにね、これは旅行ガイドにとりあげられて増上慢に陥っているなと勝手に判断し列から離脱。はす向かいにあり、行列のない「惣菜いちふじ」でメンチカツとコロッケを購入。味はまあまあでした。
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 そして美しい夕焼けが見られるという階段「夕やけだんだん」をのぼり、冷蔵庫の上ですましている猫を撮影。
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 山ノ神に奉納する谷中せんべいを買って、ふと道の向かい側を見るとなかなか風情のある山門がありました。経王寺というお寺さんで、解説によると上野戦争(1868)の際に敗走した彰義隊士をかくまったため新政府軍の攻撃を受け、その弾痕が門扉に残っているそうです。しげしげと眺めると、おお、確かにありました。「上野戦争の弾痕マニア」の方には朗報ですね。ちなみに東京国立博物館のとなりにある両大師堂、南千住の円通寺(荒川区南千住1-59-11)でも見ることができます。
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 ほんとはここから浅倉彫塑館にも寄りたかったのですが、改装中とのことでカット。日暮里駅そばの月見寺(本行寺)は築地塀と緑にあふれた境内が魅力的。解説によると、小林一茶もたびたび訪れたそうです。なお幕末の外国奉行、永井尚志の墓もこちらにあります。
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 本日の二枚です。
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by sabasaba13 | 2010-04-09 06:44 | 東京 | Comments(0)
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