会津・喜多方編(33):熱潮温泉(09.8)

 そして右折して橋を渡ると熱塩温泉に到着です。急な坂道なので自転車から降り、押しながら数分行くと示現寺に着きました。広い境内と立派なお堂、歴史のある古刹のようですね。左手の奥にお目当ての物件「自由民権運動加波山事件殉難志士顕彰墓碑」がありました。加波山事件とは何か。下館・益子編に書いた一文を再録します。
 1884(明治14)年9月要人暗殺を企てた福島・北関東の自由党員らが茨城県真壁郡の加波山に本部を置き、警察分署・商家を襲い警官隊に包囲・検挙された事件。自由民権運動激化事件の一つ。福島事件で逮捕された河野広躰と栃木自由党急進派の鯉沼九八郎、上毛自由党員らが連携、83年以後三島通庸暗殺などを計画し、たびたび延期・失敗。茨城自由党の富松正安も参加した84年9月栃木県庁落成式での襲撃計画も延期により失敗、官憲に察知され、加波山に追いつめられた16人が襲撃行動に走って逮捕された。86年死刑7人・無期徒刑7人。公然と<専制政府転覆><自由立憲政体の造出>を唱えて蜂起し、爆弾を使用したことは、政府や自由党中央に衝撃を与え、弾圧を強め、自由党解党の一つのきっかけとなった。
 これは喜多方事件(福島事件)で農民や自由党を弾圧した三島通庸や政府に対する報復という一面もある事件ですね。参加者十六名のうち十二名が福島県人、そして会津出身が三浦文治と横山信六です。事件後二十六年たった1910(明治43)年、帝国議会で関係者すべての名誉回復が行われましたが、それに先立つ1889(明治22)年に地元の有志によってこの二人の顕彰墓石がここに建立されたそうです。その後、加波山事件判決百十周年にあたる1996(平成8)年に原利八の墓石、三人の辞世の碑、事件説明碑がつけくわえられました。直前に下館を訪れて、偶然「加波山事件志士の墓」に出会っただけに不思議な因縁を感じます。調べていて今わかったのですが、東京谷中霊園に「加波山事件関係者之墓」があるそうです。(三浦文治・横山信六・琴田岩末・小針重雄・天野一太郎) 近々訪れてみるつもりです。なおここにも瓜生岩子の銅像がありました。
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 さて杉山集落へと向かいますか。ふと気づくと「温泉神社・大杉」という案内板がありました。巨木マニアとしてはほってはおけない、ちょっと寄ってみましょう。路地に自転車を置き、急な石段を上ると、温泉神社とその前に聳える巨大な杉がありました。解説によると、幹周り6.5mを越える市内でも最大級の巨樹で、樹齢は推定で1000年近いとのこと。うん、これは凄い。苔むす鬱蒼とした森林の中、大地を押さえつけるようにがっしりと根を張り、天空を支えるように枝を張るその姿には神々しさ、畏怖の念さえ覚えます。これは一見の価値あり。というわけで熱塩温泉、なかなかいいところですよ。駅舎・自由民権運動・巨木フリークのみなさん、おいでませ。そうそう温泉フリークの方も(私は入りませんでしたが)。
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 本日の二枚です。
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by sabasaba13 | 2010-06-21 06:25 | 東北 | Comments(0)
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