五島・対馬・壱岐編(13):旧鯛ノ浦教会(09.9)

 頭ヶ島大橋のところで停めてもらい写真を撮影。
c0051620_8184127.jpg

 そして二十分ほどで旧鯛ノ浦教会に到着です。この地も、寛政期に大村藩外海の出津浜から逃れてきた信者たちが居付き、その後隠れキリシタンとして秘かに生活していたところです。そして禁教政策を受け継いだ明治新政府のもとでキリシタン弾圧は巌しさを増し、ここ鯛ノ浦では1870(明治3)年に「鯛之浦の六人斬り」と言われる残忍で痛ましい事件が起きました。新しい刀の試し切りと称して、胎児を含む二家族六人が有川村の郷士に殺害されたというものです。下手人の郷士四人は切腹を命じられましたが、福江藩による迫害はますますエスカレートしていきました。禁教令の廃止後、ようやく落ち着きを取り戻し、1903 (明治 36)年にペルー神父の指導によりつくられたのがこの旧聖堂です。なお1979(昭和 54)年に現在の教会堂が出来てからは、図書室その他宗教教育施設として保存されています。なお、改造時に窓枠の裏側から鉄川与助の墨書が見つかったと伝えられているので、彼が建設に関わっていた可能性もあります。木造、切妻の瓦屋根に煉瓦造りの鐘楼という、ユニークな外観です。内部はリブ・ヴォールト天井、ステンドガラスの意匠は、まるでモンドリアンの絵のようなモダンなものです。
c0051620_819926.jpg

 それでは最後の目的地、福見教会に向かいましょう。運転手さんは裏道を行くと宣言、ま、地元の方の選択ですから否も応もなく信じるしかありません。ところが、羊腸の如く急カーブが続く山腹の細い道、思ったよりも時間がかかります。おまけに降り続く小糠雨で路面は濡れています。ずりっ おっと後ろのタイヤがスリップしました。「驚きましたか」「ええまあ」「私もです」 おいおい。「経費節約のためタイヤを使い古していますが、そろそろ変えたほうがいいようです」 おいおいおいおい。これまで饒舌だった運転手さんが寡黙となり、笑みが消え、しきりに腕時計を気にしています。これはやばい、身の危険を察し「15:05のフェリーに乗り遅れたら、二時間後のジェットフォイルに乗りますから大丈夫ですよ」ととりなしましたが、スピードは落ちません。十字をきって主に祈るのみです。そして福見教会に到着、運転手さん申し訳なさそうに曰く「すこし急いでいただけると助かるのですが…」 わかりました、タッチ・アンド・ゴーで見てきます。ここ福見の信者も寛政から文化年間にかけて大村藩外海の樫山地区等から移り住んだキリシタンを先祖としています。明治初年から厳しくなったキリシタン弾圧から逃れるため、部落をあげて黒島や生月などへ離村し、苦難を乗り越えようやく帰村すると、家財道具から衣類や農具にいたるまで全てが郷民に略奪されており、住める家は無かったそうです。ようやく信仰の自由を取り戻した信者たちは、明治10年代に最初の木造教会堂を作り上げますが、間もなく大風により崩壊してしまいます。その後、二度と倒れぬようにという決意のもと、この煉瓦造りの教会堂が1924(大正13)年に完成します。なおこの地は住民の 98 %がキリスト教徒であり、町内はもとより島内でも有数のキリシタン集落だということです。ゆっくり拝見する時間がなかったのですが、内部の船底天井がたいへん珍しいですね。
c0051620_819352.jpg

 小走りにタクシーに戻って、出発。時刻は14:46、残された時間はわずか19分、出航三十分前でないとチケットは購入できないので、手元にはありません。それを買う時間を考えると、ぎりぎりの時間でしょう。ペペ・ラセールのようにアクセルを踏み込む運転手さん、赤馬ユキのように目をつむり無事を祈る私。ヘアピン・カーブを四速で駆け抜け、前を走るロータスEliseSにテール・トゥ・ノーズでくらいつき、コーナーで強引にインをつき抜き去っていきました。(このへんは全部嘘) おおチェッカー・フラッグが見えた! 出航七分前に奈良尾港ターミナルに到着、お代を支払い(※たしか四時間で一万三千円ちょっと)、丁重に礼を言い、窓口で切符を購入し、カー・フェリーに飛び込みました。セーフ! フェリーですのでデッキに出ることができますので、潮風をあび移り行く島影を眺めながら小一時間ほどの船旅を満喫しました。おっ、向こうから疾走してくるのはジェットフォイルではありませんか。
c0051620_8195996.jpg


 本日の三枚です。
c0051620_8202390.jpg

c0051620_8204162.jpg

c0051620_821189.jpg

by sabasaba13 | 2010-07-19 08:21 | 九州 | Comments(0)
<< 五島・対馬・壱岐編(14):堂... 五島・対馬・壱岐編(12):頭... >>