五島・対馬・壱岐編(34):猿岩(09.9)

 ここで十五分間の小休止。同行したご夫婦の旦那さんは、たいへん面白い一言居士。猿岩も見ずに売店でところてんを注文、「食欲だけはあるんだよなあ」とぼやいておられます。じゃあ何の欲がないの、と思わず突っ込みたくなりました。お猿さんそっくりの海蝕崖の玄武岩、猿岩はすぐ眼の前です。「~にそっくりな岩」は観光地でよく見かけますが、「おいおいどこが~だ」と半畳を入れたくなるような物件も多々ありました。こちらの猿岩は、時価・松・竹・梅で言うと、時価と松の間くらいかな。ちゃんと目と鼻の穴もあるし、生えている草もまるで毛のようだし、何と言っても虚空を毅然と睨んでいるような孤高の雰囲気がいいですね。「何でも考え、何でも知って、何でもかんでもやってみよう」というケペル先生の教えを銘肝している自称弟子の小生としては、やはりこの疑問をもちました。正面から見るとどうなっているのだろう? さっそく道路を歩いていって廻りこみ、正面からそのご尊顔を拝見。やはりとても猿には見えない形状でした。もう集合時間だ、あわててバスへと戻り、みなさんと合流、バスは「鬼の窟(いわや)」へと向かいます。
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 途中で湯ノ本を通り過ぎましたが、こちらは壱岐で唯一の温泉だそうです。ガイドさんによると、芸能人がお忍びでよく来るそうですが、翌日にはすぐに島中に知れ渡ってしまうそうです。そして「鬼の窟(いわや)」に到着、県内最大級の円墳にしつらえられた、巨大な岩を組み合わせてつくった横穴式石室です。築造は六世紀末、この時期に壱岐ではこうした古墳が激増するとのことです。
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 そして壱岐の中心に位置するという目印「へそ石」を車窓から見学、芦辺へと向かいます。松永安左エ門がつくった発電所を眺め、しばらくすると左手に海を眺められる爽快な道路が続きます。
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 波を打ち消すために積み上げられたテトラポット、ガイドさん曰く「安いテトラポットは三万円ぐらいで買えるので、壱岐土産にいかが」。そして鬼の窟から二十分ほどで左京鼻に到着です。すると駐車場にパトカーが二台停まっていました。一言居士の旦那さん、さっそく「何か事件かな、島中のパトカーが来ているぞ」と茶々を入れます。「もっとありますよ」とにこやかに切り返すガイドさん、目は笑っていませんでしたけど。そして海岸と海を見晴らせる遊歩道を歩いていくと、救急車とレスキュー隊の車があり、隊員の方が「立入り禁止」とばかりに大きく手を振っています。
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 事故か心中か自殺か、はたまた殺人か。ガイドさん曰く「すぐに島中の噂となりますから、後でホテルにファックスを送ります」。はい、あてにしないでお待ちすることにしましょう。それはさておき、このあたりは玄界灘に面して切り立つダイナミックな海蝕崖を堪能できます。細い柱を束ねたような奇岩が左京鼻ですね。雨乞いをした陰陽師、後藤左京からその名がついたそうです。なおこのあたりはウニの漁場で、志摩から移り住んできた海女さんたちが海にもぐって今でも採取しているとのこと。本日のお仕事は終了したのか、その姿は見当たりませんでした。岩に当たって千々に砕け散る波と、青い大海原をしばし堪能。バスに乗り込んで集落を通ると、頭髪が陽に焼けた屈強な女性たちがのっしのっしと歩いていくのが、車窓から見えました。おそらく海女さんたちでしょう。
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 本日の二枚です。
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by sabasaba13 | 2010-09-01 06:30 | 九州 | Comments(0)
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